佐賀 玄海町「核のごみ」最終処分場調査受け入れ表明 「今すぐの負担はない。メリットも」石川和男が解説
政策アナリストの石川和男が6月1日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。5月10日に佐賀県玄海町が第1段階の調査受け入れを表明した、高レベル放射性廃棄物“核のごみ”の最終処分問題について解説した。
佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は5月10日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定に向けた第1段階にあたる「文献調査」の受け入れを表明した。同調査を受け入れる自治体としては、北海道寿都町と神恵内村に続き3例目となる。玄海町には九州電力の玄海原発があり、原発の立地自治体が最終処分場の選定調査受け入れを表明した初の例としても注目を集めている。 元経済産業省官僚としてエネルギー政策にも長らく携わってきた石川は、今回の「文献調査」がすぐさま最終処分場の受け入れにつながるものではないと否定。「まず文献調査を約2年。この間は土ひとつ触らない。その次に、ようやく『ちょっと土をいじろうか』となる。文献調査で判明した自治体の中の適した数か所でボーリング調査などを行う。これが概要調査と呼ばれ約4年。そこから『何となくここを掘ればいいんじゃないか?』という場所を、さらに詳しく深く掘る精密調査に約14年間。合計20年近く調査に時間をかけた上で、実際の工事では地下300メートルに広さ3~4キロ平方メートルの空間を作ることになる。これにまた10年かかる」と解説した。 また、調査を受け入れれば最終処分場も受け入れなければならないというのは「誤り」だと述べ「途中でよい・悪いを判断するタイミングが3回、法律で定められている。第1段階の文献調査から第2段階の概要調査へ移る際、地元自治体の首長と都道府県知事から実質的な合意を取らなければ進まない。仮に進んだとしても、概要調査が終わる4年後にまた同じ合意を取る作業をする。地元が嫌だと言えば、止まる」と指摘した。 そのうえで「調査でもらえる国からの交付金がある。途中でやめても返還する必要はない。地方の財源不足が叫ばれるなか、貴重な税収となるほか、国とのパイプができるメリットもある」と持論を述べた。