新たに始動したRYUSENKEI・クニモンド瀧口が語る、空前のシティポップブームの先にあるもの。「音楽は夢を与えるものだけどハリボテにはしたくないんですよね」
ーー「スーパー・ジェネレーション」は往年の大歌手・雪村いづみさんの同名アルバムへのオマージュであるとか。 瀧口 そうそう。雪村さんの『スーパー~』は昭和の作曲家・服部良一さんの曲を、次世代の雪村さんが歌って、さらにその次世代のキャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆によるバンド)が演奏するという3世代が関わった作品なんです。その、素晴らしい音楽が世代を越え、しかも時代にあった形で受け継がれているところに共感して書きました。詞で「New generation together!」と鼓舞しているんですけど、日本、そして世界中の新しい世代がシティポップを含めた素晴らしい音楽を受け継ぎ、どんどん新しいものに発展させてくれれればいいな思うんですよね。 ーーちなみに瀧口さんが考えるシティポップの「シティ」とはどんなイメージですか? ひと口にシティといっても時代などによって受け止め方はさまざまだと思うんですよね。 瀧口 僕にとってのシティは世代的にも、やはり夜の東京、それも高層ビルや首都高のイメージですね。でもだからといって、それを押し付けるつもりはないんですよ。夜でも昼でも、大阪でもニューヨークでも、80年代でも2024年だっていい。都会って、いつの時代も思い浮かべただけで何かが起こりそうなワクワクした気持ちになるじゃないですか。自分の中でその高揚感とともに想像力が膨らむ場所であればどこでもいい。そこをイメージしながら、音楽を楽しんでくれればなって思います。 ーー最後に今後のビジョンを聞かせてください! 瀧口 今回「月のパルス」「静かな恋のメロディ」という曲をSincereによる英語詞で作ったんですけど、ここ10年くらい、僕の曲の熱心なリスナーは海外の方が多いんです。Sincereはネイティブに英語詞を歌えるし、今後は海外も視野に楽曲を発信していければ。また機会があればライブも海外でやってみたいです。ただそれ以外は、まったくわからないです(笑)。ただ、これまでワクワクした気持ちに従って音楽を作ってきたので、そこは変わることなく、今後も世代を超える音楽を目指していければと思っていますね。 クニモンド瀧口(RYUSENKEI)69年生まれ。2001年バンド・流線形を結成。03年にミニアルバム『CITY MUSIC』を発表し、06年から単身のプロジェクトへ。以降、江口ニカ(一十三十一)、比屋定篤子、堀込泰行らをゲストボーカルに迎え、流線形としての作品をリリース。2024年、シンガーソングライターのSincereを正式メンバーに迎え、RYUSENKEIと表記を改め、新たに始動した。またプロデューサー、アレンジャーとして一十三十一、古内東子、ナツサマーなどの楽曲に参加。2020年からはシティポップをはじめ、日本の秀逸な楽曲を発掘するコンピレーション『CITY MUSIC TOKYO』シリーズをレコード各社からリリースしている。公式Instagram【@cunimondo】 取材・文/大野智己 撮影/井上たろう