人気が無ければリストラしかないのか ゆるキャラ「いしぴょん」の生きる道
いしぴょん、契約打ち切り
いしぴょんの活動はなぜ減ってしまったのか。石巻市産業部観光課の担当者の話によると、石巻市は、石ノ森萬画館の運営などを通じて石巻の中心市街地の街づくり活動を行っていた株式会社街づくりまんぼうに、2009年から緊急雇用創出事業として、いしぴょんの運営を委託した。緊急雇用創出事業は、2008年のリーマンショック後に厚生労働省が失業者対策のために設けた制度で、東日本大震災後の失業者対策でも活用された。いしぴょんの緊急雇用創出事業は、震災以後もイベント出演やブログ・SNSの管理などの観光キャラクターとしてのいしぴょんの運営と、キャラクターグッズを展開する事業として継続された。その緊急雇用創出事業も2015年3月末をもって終了し、観光PRキャクラターのいしぴょんの管理は石巻市の観光課へと移されたのだという。 「今は、着ぐるみの貸し出しという形で、イベント主催者の方で、全てPRの部分はお任せしている形になっています」 市としては現在、学校給食の食器や、小学一年生のランドセルのカバーにいしぴょんをプリントするなどしながら、キャラクター認知向上に努めているという。
いしぴょんが最も大事にしていたこと
「いしぴょんも市内の幼稚園などでは人気でした」 街づくりまんぼうの佐藤奈津美さんはこう話す。佐藤さんは2013年4月からおよそ1年間、いしぴょん運営チームのチームリーダーとして、イベントのMCやいしぴょんを連れて石巻の良さを代弁する活動を行っていた。 「各子育て支援センターや、小学校、幼稚園へ私たちから呼びかけて依頼をいただき、訪問活動を積極的に行っていましたが、市では依頼を受けてから行くというスタイルになっています」 2015年3月まで、いしぴょんの運営を委託されていた、街づくりまんぼうは、石ノ森萬画館や2004年に誕生したシージェッター海斗のヒーローショーやオリジナルドラマの制作、その他石ノ森作品を中心としたキャラクターグッズの販売などを通じた街づくりを行っている。そういったキャラクタービジネスのノウハウもあってか、市の観光課からはいしぴょんの着ぐるみ化の段階から相談を受けていたという。 震災後いしぴょんは、県外から復興支援という形でイベント等に呼ばれ、石巻についてPRする活動も行っていたが、活動の中で重要視していたのは、地元の子ども達へいしぴょんの認知を高め、いしぴょんを通じて石巻の地域の物産や観光名所などの観光資源についての理解を深めることだったという。