憑依型女優・志田未来が母の魂が宿ってしまった娘を熱演!佐々木蔵之介の困惑した表情もリアルな東野圭吾原作ドラマ「秘密」
今や大人気作家である東野圭吾の同名ミステリーを原作に、志田未来主演で連続ドラマ化した「秘密」。ごく普通の幸せな3人家族を襲った悲劇...。バスの転落事故をきっかけに母の魂が娘に宿り、うろたえるばかりの父と「秘密」を抱えた奇妙な生活が始まる。志田は母と魂が入れ替わってしまった娘・杉田藻奈美を熱演。父・平介を佐々木蔵之介、母・直子(入れ替わる前まで)を石田ひかりが演じる。 【写真を見る】入れ替わる前の藻奈美(志田未来)と父・平介(佐々木蔵之介) 女子高生・藻奈美は、夏休みを利用して母・直子の実家がある長野県へ向かった。しかし、運転手の居眠り運転が原因でバスは崖から転落。病院で意識を取り戻した直子だったが、隣で眠る藻奈美の姿を確認し安心したのか、そのまま帰らぬ人に。そんな中、藻奈美が奇跡的に目を覚ました。最愛の妻の死を受け入れられず途方に暮れる平介に、藻奈美は更なるショッキングな告白をする。なんと「自分は藻奈美ではなく、直子」だと言うのだ。俺は妻を失ったのか、娘を失ったのか...どちらにせよ、にわかには信じがたく混乱する平介だったが、藻奈美は幸いにもみるみるうちに回復し、退院することに。母と娘が入れ替わっているなどという奇妙な話を周囲に漏らすことはできるわけもなく、一家は「秘密」を抱えながらの生活がスタートする。 一方、事故を起こした運転手が過労運転だったことが判明。バス会社と被害者家族との話し合いが進む中で、平介は運転手の妻の証言に違和感を抱くのだった。 東野圭吾ならではの、物語がどう展開されていくのかというワクワク感、そして思わぬ方向へと物語が進み不穏な空気が漂っていくゾクゾク感、さらに母として父としての思い、娘が抱く未来への希望...それぞれの感情が強烈に伝わってくる、珠玉のミステリーとなっている。 それにしてもこの作品の肝はなんと言っても藻奈美を演じている志田未来だろう。藻奈美は母が憑依した娘であるが、まさに憑依型女優の本領発揮だ。それまで石田ひかりが演じていた直子の話し方、仕草を完璧に再現している。藻奈美の担任教師(本仮屋ユイカ)と仲良く話す平介に嫉妬したときの視線の鋭さよ、それに対しギクッとなる父(佐々木蔵之介)もクスッと笑える。もともと明るい杉田家だっただけに家族の会話はほっこりする、しかし同時に切なさも襲ってくる。きっと、この奇妙な生活には終わりがある、それは母と娘のどちらかの魂が消滅してしまうことを意味する。そんな結末を予感しながらも、この家族がどんな決断をするのか、最後まで見たいと思わせてくれる秀逸作だ。 文=石塚ともか
HOMINIS