カイロス爆破、でも「記念すべき日」 町長「次回はさらにもてなす」
噴煙を上げながら青空に向かって飛んでいく小型ロケット「カイロス」2号機の姿を、発射場が設けられた和歌山では多くの人たちが祈る思いで見届けた。3月の初号機と同様に「飛行中断措置」がとられたが、見学者たちは2号機の雄姿に大きな拍手と喝采を送った。 【写真】カイロス2号機の打ち上げを見守る人たち=2024年12月18日午前11時1分、和歌山県串本町田原、菊地洋行撮影 和歌山県串本町の発射場「スペースポート紀伊」の近くに設けられた公式見学場「田原海水浴場」。約500人の見学者たちが寝袋や毛布などで防寒対策をしながら午前11時の打ち上げを待った。 発射場から見学場までは約2キロの距離があり、発射音が聞こえるまで数秒かかる。 「5、4、3、2、1、0……」。発射を告げるカウントダウンからしばらくして、「ゴー‼」という轟音(ごうおん)とともに「カイロス」2号機の姿が現れ、噴射音とまばゆい炎を出しながら上空へと吸い込まれていった。 「人生で一度はロケットの発射を見たかった。音と光がすごかった」。大阪市から家族と来た横山かほるさん(52)は、興奮気味に声を弾ませた。 打ち上げ関連設備の建造に携わった技術者の千坂修さん(54)は「ロケットの打ち上げが、こんなにすごいとは思わなかった」と涙を流し、開発チームの仲間と喜び合った。 ところが、約20分後、会場内に「飛行中断措置」のアナウンスが流れた。和歌山市の会社員、藤野海璃さん(21)は、ちょっぴり残念そうな表情を浮かべながらも「ミッションが成功するまで見に来たい」と3号機の打ち上げに期待を寄せていた。 田嶋勝正・串本町長は「改めてロケット技術の難しさを感じた。これだけの人が応援に来てくれたので、次回はこれまで以上のおもてなしの態勢をとりたい」と意気込みをみせた。 ■「子どもたちは……」 パブリックビューイング(PV)の会場が設けられた海南市の複合施設「海南ノビノス」では、約50人が打ち上げの瞬間を見守った。 当初は定員約250人のホールを予定していたが、2度の延期を経て多目的室に規模を縮小。それでも会場は大きな拍手に沸いた。ノビノスの担当者は「次の発射がいつになるか分からないけど、成功するまでPVは続けたい」と話した。 岸本周平知事は県庁で中継を見守った。その後、報道陣の取材に応じ、「ミッションが達成されなかったという意味では少し残念だが、失敗だとは思っていない。青空に向けて飛んでいる姿を見て感動した。きょうは県にとって記念すべき日になった」。そして「子どもたちは何度失敗しても挑戦する姿を見ている。教育効果をもたらしていると思う」とも語った。(菊地洋行、寺沢尚晃、松永和彦)
朝日新聞社