クマの冬眠ずれ込み?島根県内の気温高く 出没数が例年の最大2.7倍と予測 10~12月 ブナやミズナラ凶作で食料求め活動長期化
暖かい日が続き、ツキノワグマの冬眠がずれ込む可能性が出ている。これまで冬場の目撃数が増えている年は、暖冬だった年とおおむね重なる。島根県中山間地域研究センターは、10~12月の県内における出没数が、最大で例年の2・7倍になると予測。クマが食料を求めて活動する期間が長期化し、例年以上に人里に出没する恐れがある。 【地域を守る】減るハンター増える役割 イノシシ駆除やクマ警戒 負担軽減へ担い手育成を
同センター鳥獣対策科の田川哲係長は「活動期間が延びる可能性がある」とする。クマは12月ごろに冬眠に入るとされるが、積雪がなければ食料を求め、冬眠が遅くなることが考えられる。実際、10~12月の目撃件数が大幅に多かった2016年度(513件)と、20年度(477件)はいずれも暖冬だった。 今季、島根県内の気温は9月は平年より3・5~4・1度、10月は1・8~2・3度高かった。気象庁によると、11月も寒気の影響が弱く、西日本は例年より高いと見込んでいる。 冬眠前は食欲が増し、山中に食料が少ない場合は人の活動圏まで移動する恐れがある。加えて、今年は食べ物とするブナやミズナラが凶作。同センターが、過去のデータなどを基に今季の出没数を予測したところ、県全体では例年の約1・5~2・7倍になるとし、特に浜田市南部は3~3・5倍になると見込む。 10月25日、浜田市内で犬の散歩中の50代男性が、民家の庭から飛び出したクマに太ももを引っかかれるけがを負った。山口県岩国市では今月3日、山中で猟をしていた50代男性が襲われ顔面と左腕に重傷を負うなど、冬眠前の個体による被害も出ている。
田川係長は、10月末以降は山中にクリの実がなくなり、人里に現れる可能性が増すとし「生ごみを野外に放置しないといった対策があらためて必要になる。生息地域が拡大傾向にあり、これまで出没が少なかった地域でも注意が必要になるだろう」と話した。 島根県によると、24年度の目撃件数は10月末で1348件で、これまでで最も多い20年度の1年間(1362件)に迫っており、過去最多を更新するのは確実な情勢となっている。