お菓子マスターが選ぶ「マイベスト地方菓子」熊本、香川、福井の逸品和菓子3選
定番だからこそ、いつまでも記憶に残るそんなお菓子を“お菓子マスター”たちのストーリーとともにご紹介するシリーズ最終回。 今回は土地の記憶も運んでくる、忘れられないソウルフード“地方菓子”編です。 【ちほうがし Local Sweets】大衆に愛される郷土菓子や土産菓子、地域限定菓子、茶道の家元に献上して銘を付けられた銘菓などバラエティ豊か。
「長寿庵」いきなり団子 ●平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト®)のおすすめ
■熊本生まれの母が教えてくれた懐かしい郷土おやつ 輪切りにしたさつまいもとあんを小麦粉の生地で包んで蒸した素朴なおやつ。「いきなり」とは熊本弁で「手早く・すぐに」の意味。「熊本生まれの母のソウルフード。帰省して戻るときに熊本空港で買って、温かいものを機中で食べたり、家に持ち帰ったり。中のさつまいもはスライスした形そのままで入れるのが特徴です。
[いきなり団子]3,980円(ギフトセット 1箱3個入り×6箱) 【長寿庵】 熊本県熊本市西区春日7-19-15 営業時間/9時~17時 定休日/日曜、年末年始
「白栄堂」観音寺 ●スイーツなかのさん(スイーツ芸人)のおすすめ
■現地でも稀少な、一期一会のおいしさに心が弾む 1897(明治30)年、香川県観音寺柳町で創業。この「観音寺」は1960(昭和35)年に誕生したお菓子。「東京のアンテナショップで偶然出合い、現地でも扱っているお店が限られているお菓子とわかり、一期一会のおいしさに心が弾みました。生地はカステラのようにふっくらと舌触りがよく、素朴な甘さにほっとする味です」
[観音寺]1,300円(1箱10個入り) 【白栄堂】 香川県観音寺市観音寺町甲1125-7 営業時間/9時~18時 定休日/木曜
「えがわ」 水羊かん ●chicoさん(スイーツライター)のおすすめ
■一枚流しのスタイルに子ども心がときめいた一品 越前・福井では、冬の銘菓として愛されている「水羊かん」。厳選されたきめの細かいこしあんは、なめらかでつるんとした食感です。「子どものころ、福井の叔母からいただいて、福井では、こたつで食べる冬の風物詩であることと、一枚流しの形状に心がときめきました。口にするとひんやりと溶けて広がる黒糖の風味とあん、優しい甘さに癒やされます」
[水羊かん]850円(1箱520g)※11月~3月末限定 【えがわ】 福井県福井市照手3-6-14 営業時間/8時30分~18時 定休日/4月~10月水曜、1月1日、11月~3月無休 撮影=sono(mame) スタイリング=渡辺陽子 編集・文=谷口恭子(婦人画報編集部) 『婦人画報』2023年11月号より