苦境続く書店経営 大手と地域密着で格差 書店全体は3年連続赤字、増収は4社に1社
売上高は減少傾向が続く
「活字離れ」が言われて久しい。本屋さんの倒産、廃業が高止まりし、業績確保に苦慮している。全国の主な書店261社の2023年度の売上高合計は6,385億1,000万円(前期比2.1%減)で、利益合計は17億9,800万円の赤字(前期は24億2,600万円の赤字)と3期連続で赤字だったことがわかった。 増収企業は全体の4分の1の67社(構成比25.6%)にとどまり、赤字企業は75社(同28.7%)だった。コロナ禍でおうち時間が増えたが、書店の売上は落ち込みが続き、雇用調整助成金などの支援を受けながらも2021年度から3期連続で赤字を計上、顧客を呼び戻す戦略が求められる。 東京商工リサーチ(TSR)は、書店を運営する全国261社を対象に業績動向を調査した。売上高100億円以上は17社(構成比6.5%)と1割に満たない一方、5億円未満は181社(同69.3%)と約7割を占め、中小・零細規模の書店が圧倒的に多い。また、書店の倒産・休廃業は、2023年は倒産13件、休廃業54件の合計67件で、10年連続で新設法人数を上回り、業界の縮小が続いている。 (一社)日本出版インフラセンターによると、日本の書店数は2003年に2万880店あったが、2023年は1万918店と20年間で半減している。出版物は書籍、雑誌、電子出版と大別され、販売数は電子出版が伸ばす一方、紙の書籍、雑誌は減少が続き、書店が苦戦する背景になっている。 10月27日は読書の日。客離れが続く書店だが、活字の持つ魅力と知識量は変わらない。再び多くの読者の足が戻るには、書店独自のアイデアと業界の知恵を結集した再建策が欠かせない。 書店261社の2023年度の売上高合計は、6,385億1,000万円(前期比2.1%減)、最終利益合計は17億9,800万円の赤字(前期は24億2,600万円の赤字)だった。売上高合計は減収が続き、業界全体の苦境を示している。2023年度の最終利益は、前期よりも赤字幅が縮小したが、依然赤字から抜け出せず、抜本的な改善が急務になっている。
「書店」倒産・休廃業 新設法人の設立数を10年連続で上回る
「書店」の倒産・休廃業は、2023年は合計67社で、10年連続で新設法人数を上回った。 市場退出に歯止めがかからず、業界縮小が続いている。なお、2021年、2022年の倒産は、コロナ禍の巣ごもり需要や支援策で一時的に減少したが、支援縮小や特需の一巡で2023年は13件に増加した。2024年は1月から9月で9件発生している。