ついに公演回数100回超えへ! 稲垣吾郎、ベートーヴェンに感じる共感と憧れ
――ベートーヴェンは「自分とは逆」とおっしゃっていましたが、本作に限らず、エキセントリックなキャラクターであったり、気難しい人物だったり、ご自身とは「異なる」と感じる役柄のオファーが届くという現状をどう受け止めていますか? 周りがつくり出すイメージによって外堀が埋められ、“俳優・稲垣吾郎”の形が強化されていく部分もあるかと……。 それはすごくありますよね。そこを楽しんでます。不思議ですよね、そういうイメージってどこでつくられていったのか? でも何十年もこうやって仕事をさせてもらって、グループとしてやってきて、その中で見ている人のイメージがつくられていくものだと思うし、それが自分から見て正しいこともあれば、イメージが先行してると思うこともありますけど、それもこの世界の特徴ですよね。 それをわかっていないと自分のプロデュースはできないですよね。自分がどう思われているか常に冷静にわかって、客観的に見られないと自分の面白さにも気づけないですし。その意味でいろんなイメージを抱いて、僕にそういう役を演じてもらおうと思っていただけるのはすごくありがたいことです。ただ最近、かなり偏った屈折した役が多いですね(苦笑)。でも、それもなんかわかるんですよね。これを僕が演じたら面白いだろうなって。そういうとこが自分の中に結構あるんだと思います(笑)。かなり屈折してますもん。でも、屈折してるくらいの方が見ていて面白いと思うし、何か心に“闇”がないと……ベートーヴェンもそうですよね。 ――逆にベートーヴェンという役を演じたことで自身が影響を受けて変わった部分はありますか? どうだろう……? あるかもしれないですね。あんまり考えたことなかったですけど……。いや、でも「自分は違う」と思ってるから影響はされないのかな? あんなふうに生きられないですよね、やっぱり。でも「生きてみたい」とは思います。俳優であれ、アーティストであれ、こういうお仕事をさせてもらっていて、そうあるべきだと思いますしね。ひとつのことに周りが見えなくなって、没頭して作品をつくるみたいなことは憧れますけど……あんまりそうならないんですよね。バランスよくやってしまうんです。ベートーヴェンの気づいたら3日間家から出ていなかったとか。何かが舞い降りてきて「書かなきゃいけないんだ」とかそういう職人気質に憧れる部分は大きいと思います。今回また演じられることがとても楽しみです。 取材・文:黒豆直樹 撮影:武田敏将 <東京公演> 舞台『No.9 -不滅の旋律-』 公演期間:2024年12月21日(土)~12月31日(火) 会場:東京国際フォーラム ホールC