【チャンピオンズC】ウィルソンテソーロ、打倒レモンポップへ抜群の動き
1年前とは全てが違う。昨年2着のウィルソンテソーロが、美浦坂路で迫力満点の動きを披露。進化した姿に小手川調教師は目を細める。 「1週前追い切り(Wコース5ハロン66秒5-12秒3)が素晴らしい動きだったので、フレッシュな状態で競馬に行くために坂路で。(調教厩務員の)榊原さんいわく、『馬がフウッとひと息ついたらもうケロッとしていた』。彼にとってはお散歩気分でしたね。本当に力をつけています」 単走で道中は手応え抜群。直線に向くと、鞍上の手綱が動かずともグングン加速し、4ハロン54秒8-12秒4をマークした。雨上がりの重馬場でも息を乱さないとは恐るべし心肺機能の高さ。タフな走路も軸のブレない走りで難なくこなし、「体幹が強くなったので、脚を取られることもなくなりました」と指揮官もうなずいた。調教評価は最高の『S』だ。 昨年は12番人気の低評価を覆して2着。東京大賞典も2着でダート界の一線級に名乗りを上げると、今年はドバイワールドC(4着)、コリアC(2着)と海外にも遠征した。トレーナーは「飛行機輸送や滞在競馬を経験して、ドバイの前後では馬が変わった。精神面が大人になりました。馬体にも重厚な筋肉がついて、榊原さんは『昨年はアイドルみたいな体形だったけど、今は石原軍団の俳優』と言っています」と笑みを浮かべる。前走・JBCクラシックで初のGⅠ級制覇を飾ったのは、心身の成長のたまものだ。進化した今年こそ金メダルへ-。本格化を迎えた大器が、砂界の新たな帝王になる。(綿越亮介)