『いちばんすきな花』最終話に込められたメッセージ、「男女の友情は成立するのか?」への答え
それぞれの生活に戻った4人
4人はついに引っ越すことになり、荷物をまとめる。マグカップを手に持って寂しそうに眺めるゆくえ、紅葉、夜々。ゆくえが何も言わずにキッチンにマグカップを置くと、それに続いて他の3人もキッチンにマグカップを置く。荷物が運ばれ、何もなくなった椿の家の床に転がる4人。寂しさを紛らわすため指ゲームをした後、4人はマグカップだけ置いて家を出ていった。 椿の家だった場所に戻ってきた志木美鳥(田中麗奈)。夜々、紅葉、ゆくえ、椿と順番に1人ずつ引っ越しの手伝いに来ていた。ゆくえが「男女の友情って成立するの?しないの?」と聞くと、「どっちでもいいんじゃない?人それぞれだからね」と答える美鳥。「だよね」とゆくえも同意していた。 それぞれの生活に戻った4人は、カラオケやカフェなどで集まるようになっていた。ある日集まった4人は、近況報告をすることに。紅葉は「同窓会のグループラインを自分から退会した」、夜々は「心開いてない人にも口が悪くなった」、ゆくえは「結婚式の招待状、欠席に丸をした」、椿は「同じ美容院に2回行った」とそれぞれの成長を話し、楽しく話しながら外に出ていく。椿の家で集まることはなくなっても、4人の友情が変わることはなかった。上手く2人組になれない4人が出会い、かけがえのない4人組になることができたのであった。 「男女の友情は成立するのか?」というテーマを掲げ制作された本作。「成立する人もいれば、成立しない人もいる」という答えだけでなく、「どちらかが恋愛感情を抱いても、お互いを思いやることができれば、友人関係は継続できる」という結論も汲み取ることができる。恋愛対象にはならないが友人としては魅力を感じている相手に対して、どのように立ち振る舞えば友人関係を続けることができるのか。そして恋愛感情を抱いている相手への気持ちをどのように整理すれば、良い関係を継続できるのか。そういった細かい部分を丁寧に描いた作品だったように思える。男女の友情だけでなく、人と人との繋がりや価値観についても描かれた本作は、これまでにはない新感覚のドラマ作品だったのではないだろうか。
中村 スバル