ブラジルで活躍する日系企業の今 (29) 日本のアサイーブームに火をつけたフルッタフルッタ社
アマゾンのCO2削減量を商品に表示
アグロフォレストリーは持続可能な農業として世界中に事例はあるが、特にCAMTAが実践するトメアス式(SAFTA=Sistema Agroflorestal de Tomé-Açu )は、アマゾンの荒廃地に多様な果樹や材木の苗や作物を植えて1年目から継続的に収穫でき、森も再生できることで世界から注目を浴びる。そのフルーツ原料を日本に直接輸入して、ジュースバーから事業を開始した。 短期間にメディアでも話題となり、1年半後には東京へ進出、飲食店や食品メーカー、スポーツ施設等にも原料販売を開始し、2006年には自社商品「アサイーエナジー®」、「アサイーエナジー®ダイエッタ」を発売した。 「アサイーエナジー®」には間伐材を使用したカートカン(円筒状の小型紙製飲料容器でリサイクル可能)を使用し、容器にはCAMTAが アグロフォレストリーで生産するアサイーなどの農産物原料を使用した製品に日本の飲料業界初でCO2削減量が表示された。
「アサイーおじさん」から目が離せない
5月3日にブラジルを公式訪問した岸田文雄総理大臣は、ルーラ大統領との首脳会談で、二国間の環境・気候・持続可能な開発・経済関係強化に係る共同声明「日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI)」を立ち上げた。この声明にはアマゾン地域におけるアグロフォレストリー分野での「アマゾン地域の生物多様性の持続可能な利用に関するトメアス協力覚書」があり、持続可能な生物多様性に基づく製品や活動の促進に関連する優良事例の交換を促進することが決定された。来年にパラー州ベレンで開催予定のCOP30に向けて、「アサイーおじさん」に熱い視線が注がれるのは間違いない。(取材/大浦智子)
【関連記事】
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(28)=日本企業と密接な関係持つアベ法律事務所 2024年5月11日
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(27)=「健腸長寿」を合言葉に=海外最多のラインナップ誇るブラジルヤクルト商工株式会社 2024年4月27日
- ブラジルで活躍する日系企業の今(26)=フリーペーパーを定期発行するコジロー出版社 2024年4月13日
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(25)=金属資源等を中心に躍進する双日ブラジル会社 2024年3月29日
- ブラジル日本商工会議所協賛企画=現地で活躍する日系企業の今(24)=産業発展と脱炭素推進に貢献するTSE社 2024年3月16日