【ソフトバンク】広瀬隆太がプロ初本塁打「今までのホームランの中でも一番うれしかったです」
<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク2-0阪神>◇14日◇みずほペイペイドーム ソフトバンクが若鷹コンビの“初初初”で両リーグ最速40勝をマークした。「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦(みずほペイペイドーム)で、プロ初スタメンの8番笹川吉康外野手(22)が5回2死から初安打&初盗塁。続く9番のドラフト3位新人、広瀬隆太内野手(23)がプロ初本塁打となる決勝2ランを放った。貯金は今季最多の22でパ首位を独走。交流戦も残り2試合で首位楽天に1ゲーム差に迫り、5年ぶりの制覇へ希望をつないだ。 【動画】ソフトバンクナイン全員笑顔 広瀬隆太プロ初アーチ ◇ ◇ ◇ 格別な景色だった。ルーキー広瀬にとっては初の本拠地お立ち台。「すごいファンの方々の歓声を受けて、すごく幸せでした」。汗がしたたる髪の毛、泥まみれのユニホームは、新人らしい全力プレーの証しだ。1軍44打席目のプロ1号が決勝アーチとなり、「今までのホームランの中でも一番うれしかったです」と胸を張った。 お膳立ては高卒4年目の笹川だった。「ギータ2世」の期待も大きい左の大砲候補が、「8番右翼」のプロ初スタメンで5回に中前へプロ初安打。阪神伊藤将とはファームで対戦経験があり、小久保監督が「今週の頭から決めていた」という抜てきに応えた。直後に二盗を決めてプロ初盗塁に成功。すかさず「9番二塁」で先発した右の大砲候補、広瀬が左翼に決勝2ランを放った。 笹川は「率直にうれしい。初スタメンでエネルギー使ったので、お腹すいてました」と試合直後にご褒美のカレーを食べてにっこりだ。2死無走者から22歳の笹川がチャンスメークし、23歳の広瀬が試合を決めた。小久保監督も「今日は若い力といいますかね。久しぶりに“筑後ホークス”の活躍で勝てました」とご満悦だ。 慶大から23年ドラフト3位で入団。ホークススカウト陣は同年春の慶大キャンプから熱心に足を運んでいた。関係者が「春のキャンプでプロスカウトが5人も視察に来るのは、今までの慶応大学にはなかったこと」と驚く注目度を誇った。東京6大学リーグで岡田彰布(早大、現阪神監督)に並ぶ歴代4位の通算20本塁打を記録。スカウト陣をほれさせたポテンシャルをプロでも証明した。 その岡田監督の前で放ったアーチ。「プロでも並べるぐらいホームランを打てるように頑張ります」。通算247本塁打を放った敵将を目標に定めた。 チームは交流戦全6カードで初戦白星発進。両リーグ最速で40勝に到達し、貯金は今季最多を更新する22まで積み上げた。さらに交流戦首位の楽天が敗れ、残り2試合を残して1ゲーム差。5年ぶり通算9度目の逆転優勝に向けて望みをつないだ。指揮官は「(交流戦優勝は)他力なんでね。自分たちができることしっかりやって。カード勝ち越しが1つの目標。また明日しっかり戦いたい」と手綱を締めた。【只松憲】 ◆広瀬隆太(ひろせ・りゅうた)2001年(平13)4月7日、東京都生まれ。慶大から23年ドラフト3位でソフトバンク入団。俳優の石原裕次郎さんを思わせる風貌で、スカウトからは「立派な眉毛は昭和のスターみたい」と評されたことも。5月28日にプロ初昇格。181センチ、88キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1000万円。 ◆笹川吉康(ささがわ・よしやす)2002年(平14)5月31日、神奈川県横浜市生まれ。横浜商時代に甲子園出場経験はないが、通算40本塁打を放った。左打席からのフルスイングが持ち味で、柳田の背番号44を受け継いだ。20年ドラフト2位でソフトバンク入団。193センチ、95キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸は640万円。 ○…近藤がド根性のHランプをともした。12日の本拠地ヤクルト戦で右手を捻挫して出場も危ぶまれたが、2試合連続「5番DH」で出場。2回の第1打席で負傷後初安打となる中前打を放った。「何もない時に比べたら(力は)入りづらいです」と話していたが、痛みに負けじと勝利への執念を体現した。