「光る君へ」最終回11・0% 期間平均10・7%ワースト2位も配信歴代最高へ“平安大河”不安覆す好評
女優の吉高由里子(36)が主演を務め、紫式部役を演じたNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は15日、15分拡大で最終回(第48話)が放送され、平均世帯視聴率は11・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが16日、分かった。全48話の期間平均は10・7%。前作「どうする家康」の11・2%を0・5ポイント下回り、大河歴代ワースト2位に沈んだ。視聴率こそ苦戦したものの、配信は好調。「NHKプラス」は第45話(11月24日)時点で大河歴代最高視聴数を記録している。「合戦シーンがない」など、当初あった初の「平安貴族大河」への不安視の声を覆し、視聴者を魅了。好評を博し、大河ドラマの新たな可能性を開拓した。 【写真】柄本道長の衝撃の頬。最終回、藤原道長(柄本佑)は「生きることは、もう、よい」… 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石静氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。 平将門を主人公にした1976年「風と雲と虹と」に次いで大河史上2番目に古い時代が舞台。平安中期の貴族社会を題材にした大河は今回が初となった。 期間平均の大河歴代ワーストは19年「いだてん~東京オリムピック噺~」の8・2%。「光る君へ」の10・7%は、これに次ぐ過去2番目の低視聴率。 配信全盛の時代となり「リアルタイムの世帯視聴率」は急激に低下。ゴールデン帯(午後7~10時)の総世帯視聴率(HUT、関東地区)は21年=58・0%、22年=52・8%、23年=49・6%(いずれも年間平均)と8・4ポイントも激減。これに伴い、ほぼ全番組の数字がダウンしている。 大河ドラマも年々、配信サービス「NHKプラス」「NHKオンデマンド」による視聴が増加。「光る君へ」初回(1月7日)の「NHKプラス」視聴数は、この時点で同局の全ドラマの中で過去最多をマークした。午後6時からのBS先行放送を選ぶ大河ファンも多い。 「光る君へ」第1話~第45話の平均視聴UB数は37・8万UB(12月6日現在)。この時点で大河歴代1位の視聴数となっている。2020年4月のサービス開始以降、NHKプラスで配信された大河ドラマ作品毎の全話平均視聴数で比較。「光る君へ」以外は初回~最終回の平均視聴UB。UB(ユニークブラウザ)数とは、ウェブサイトを訪問した重複のないユーザー数。同時または見逃し配信における視聴数(放送当日から見逃し7日間の数値)を集計した。 最終回は「物語の先に」。「源氏物語」の作者・まひろ(吉高由里子)と源倫子(黒木華)の“ラストバトル”、時の最高権力者・藤原道長(柄本佑)の最期、そして、まひろの再びの旅立ち…という展開。オンエア終了後(午後9時)には「#光る君へ」が「X(旧ツイッター)」の国内トレンド1位。大きな反響を呼び、完結した。 大石氏が恋愛パートと政争パートを両軸に、熟練の作劇。数々の珠玉の台詞を生み出し、まひろの母・ちやは(国仲涼子)の初回(1月7日)“退場”や、まひろと道長の“不義密通”など、大胆なオリジナル設定も奏功した。見る者の心をわしづかみにした。美術チームも奮闘し、1000年前の雅な世界を活写。キャストの熱演、余白や余韻のある演出、エレキギターやパイプオルガンも用いた音楽も一体となり、高評価。“非戦国大河”“文化系大河”の可能性を切り拓いた。