米教育省の廃止求めるトランプ氏、それが意味するものとは
教育省終了でも政府の教育資金は維持か
低所得世帯の子どもや障害のある子どもを支援する前出のプログラムは、仮に教育省が廃止されても他の省庁に移行される可能性がある。 教育財政政策に特化したジョージタウン大学の研究センター、エデュノミクス・ラボのマーガレット・ローザ所長も、各学校が突然資金を失う事態にはならないとの見方を示している。 ローザ氏によると、低所得世帯の子どもに向けた財政支援プログラムは、党派にかかわらず議員らの間で相当に人気が高いという。 過去に大統領が教育省の予算削減を提案した際には、議会がこれを拒否してきた。ブルッキングス研究所の分析によれば、議会が大統領の要望を上回る予算を割り当てたケースは、全体の約71%を占めるという。 第1次トランプ政権による教育省の予算削減提案に対してさえも、共和党が多数派だった当時の議会は最終的に予算を拡大している。
議会が省の完全廃止を認める公算は小さい
注目すべきは、省庁の廃止に当たって議会の行動が必要になるという点だ。 教育省の廃止や他の省庁への再編を求める声が上がるのは、今に始まった話ではない。共和党のレーガン大統領(当時)が同省の廃止を呼び掛けたのは、省としての稼働開始からわずか1年後の1980年だった。しかし議会での支持はほとんど得られなかったようで、廃止要求は撤回された。 第1次トランプ政権では教育省と労働省の合併が提案されたが、議会の上下両院を共和党が抑えていた当時でさえ、この案が実現することはなかった。 来年1月の連邦議会で上院は共和党が多数派を握る見通し。下院の勢力分布はまだ確定していない。今回新たに選出された共和党の上院議員、バーニー・モレノ氏(オハイオ州)とティム・シーヒー氏(モンタナ州)は、共に教育省の廃止案を支持している。 しかし、仮に共和党が下院を抑えたとしても、今回連邦議会で教育省の廃止が十分な支持を得られるかどうかは依然として不透明だ。