クルスク州で村奪還のロシア・北朝鮮連合軍、川に阻まれ苦戦中 ドローンや大砲の餌食に
ロシア軍の援軍である北朝鮮軍第11軍団の所属とみられる部隊が12月6日から7日にかけて、ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が保持する650平方kmほどの突出部の周縁部についに進撃してきたとき、開けた野原を闊歩する北朝鮮歩兵の長蛇の列はウクライナ軍の火力に真っ向からぶつかった。 北朝鮮部隊の襲撃(アサルト)は1回を除いて血なまぐさい失敗に終わった。総勢およそ1万2000人とされる北朝鮮部隊のうち、200人ほどが死傷した可能性がある。 とはいえ、その「成功した」襲撃もまた、第11軍団にとって戦果と引き合わないほど損害の大きい「ピュロスの勝利」だったのかもしれない。 突出部の南東端に位置し、クルスク州からウクライナへと流れるプショール川のすぐ南側のプリョーホボ村では、100人規模のウクライナ軍守備隊が、北朝鮮部隊による各150人程度の2波にわたる襲撃に持ちこたえた。 しかし襲撃はさらに続いた。ウクライナのジャーナリスト、アンドリー・ツァプリエンコは「北朝鮮兵は集団で、より正確に言うと群れのように突撃してきた」と伝えている。 ウクライナ軍の守備隊は撤退したが、ウクライナの防衛戦略センター(CDS)によると、これは計算された撤退だったらしい。ウクライナ軍部隊は「どんな犠牲を払ってでもプリョーホボに踏みとどまろうとはせず、プショール川の北側に退却した」とCDSは解説している。 その結果、ロシア・北朝鮮連合軍側と、突出部の南東方面のウクライナ軍主力である第61独立機械化旅団との間に、天然の障害が難関として立ちふさがる格好になった。 「このため、敵はUAV(ドローン)や大砲にさらされながら、開けた土地を横切って、彼らにとって配置のわからない陣地を攻撃することを強いられた」(CDS) 北朝鮮部隊はプリョーホボ村を奪還したものの、ロシア・北朝鮮部隊はそれ以降、プショール川に近づいたり、この川を渡ったり、あるいは対岸に橋頭堡を築いたりするのに手こずっている。蛇行して流れるプショール川の北側や西側の塹壕に入っているウクライナ軍部隊は、敵部隊を思うがままに狙い撃ちしている。