【ファミスタ誕生】マンガで振り返るゲーム業界:ファミコン用ソフト「プロ野球 ファミリースタジアム」が発売された日(1986年12月10日)
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)は、ファミコン用野球ゲーム「プロ野球 ファミリースタジアム」を、38年前の1986年12月10に発売した。 本作に登場する野手は、選手ごとに長打力(パワー)や足の速さが、投手は球速や変化球の曲がり方がそれぞれ異なるのが最大の特徴。プレーヤーを、まるで本物のプロ野球選手を操っているかのような気分にさせてくれる面白さとリアルさで大人気となり、「CESAゲーム白書」によると本作の販売本数は205万本にも達した。 当時について 筆者が初めて本作をプレイしたのは、発売された直後にソフトを購入した友人宅でした。当時は巨人ファンだったので、全10チームの中からGチーム(ガイアンツ)を迷わず選択しました。「くろまて」や「たつのり」、代打の「おう」を使うとホームランが出やすく、「えがわ」のカーブが異常なまでに曲がるなど、打率やホームランなどのデータ表示が単なる飾りではないことに衝撃を受けました。本作以前の野球ゲームは、選手個々の能力値が設定されていないことが当たり前だったと言えば、その凄さと斬新さがおわかりいただけるでしょうか? やがて友人の発案で、とある日曜日に10人以上の仲間が集まって開催した「ファミスタ大会」がメチャクチャ盛り上がったのも、個人的には忘れられない思い出です。筆者はチーム選択のジャンケンに負けまくったせいで、当時は誰もが「強い」と評価したであろうRチーム(レイルウェイズ)やGチームを取れず、本作オリジナルのNチーム(ナムコスターズ)をしぶしぶ使うことに。後に快速で有名になる代打「ぴの」をスタメンで起用し、フォークボールがバウンドするかしないかの判断が難しい(と、思われる)「せひうす」を先発させる策も実らず、残念ながら優勝を逃してしまいました……。 ゲームの中身とは別に、筆者が本作で最も気に入ったところはズバリ「安さ」でした。当時は4,500円、4,900円、5,500円……とファミコンソフトの値段がどんどん上がっている印象を受けていたなかで、本作の定価は3,900円と、まさに破格の安さでした。ちなみに当時のナムコは、本作のほかにも「ファミリージョッキー」、「ファミリーマージャン」、「ファミリーテニス」そして続編の「ファミスタ'87」など、3,900円のソフトをたくさん発売していました。 「今日は何の日?」とは 不定期に過去に起きたゲーム業界に関する出来事をマンガでふりかえるコーナーです。 絵:橘 梓乃 すでにライターデビューから30年が経ちましたが、自身初となるマンガ企画を当GAME Watchにて担当させていただくことになりました。今後もゲーム業界の歴史をユル~く、かつ真面目にご覧いただけるネタをいろいろご用意したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします! ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。 テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)
GAME Watch,テキスト:鴫原盛之、絵:橘 梓乃