BE:FIRST・RYOKI「動物たちにとっての“幸せ”とは?」動物行動学専門医と考える
犬と人間は「主従関係」でなく「親子関係」
RYOKI あまり人間に慣れていないワンちゃんとの接し方についても、ぜひお話をお聞きしたいと思っていたんです。僕は動物のために力になれる活動をしたいと思っていて、寄付や支援団体のお手伝いなどについて調べているところなんですけど、自分は人に慣れている動物にしか接したことがなくて。保護犬など、人間が苦手なワンちゃんとは、どう距離を縮めたらいいんだろうなと。 入交 犬も個人差があるので、一般的な話として聞いてくださいね。人間と犬の関係は、メディアではよく主従関係だと言われますが、あれは間違いです。主従ではなく、親子関係に似ていて、どう信頼関係を築いていくかが大切。だから体罰や、叱咤などの圧力で制するものではないということが基本です。 犬は生後3~16週齢の社会化期に、お母さん犬、兄弟犬、ほかの犬、人間を含む周囲の社会との付き合い方について学んでいくんですね。でも野犬のように犬の世界のみで生きていると、社会化期に人間と接する機会を持てず、人間のことが怖くなってしまう。 人間も、小さいころに触れなかったものには恐怖を感じるんですよ。たとえば、私たちアジア人が違う人種の方を見ても、子供のころからアジア人以外の人種を普段の生活やメディアで目にする機会があるので自然に受け入れるものですが、突然見慣れない外見の宇宙人が目の前に現れたら、とっても怖いですよね。 RYOKI 恐怖を感じますね……。 入交 犬も同じで、人間を見たことがない野犬は、初めて人間と相対すると不安を感じるんです。なので、構いすぎてしまう方もいらっしゃるんですけど、場合によっては適度な距離を保って、「嫌ならここで本を読んで待っているから、あなたの好きなタイミングでこちらにおいで」というスタンスでいることが大事だと思います。 RYOKI 人間と同じですね。相手がどういう人なのか、どうしてほしいのかを考えて接する人はやっぱり好感を持たれる。ワンちゃんも同じなのかなと考えていたので、「やっぱりそうなんだ」と思いました。 入交 そうです、そうです。RYOKIさんのワンちゃんは幸せ者ですね。パパさんがすごくよくわかっているから。 <このほか本誌には、「犬って飼い主に似るもの?」「ペットの健康管理をするには?」「動物保護を正しく支援するために」などについて、RYOKIが入交先生と考えるスペシャル対談の完全版を掲載。 また、動物たちが人間と共存しやすい環境づくりやアーティストとして社会貢献をしたいと考える理由について、RYOKIが語るソロインタビューも。>
岸野恵加