一審「社会通念」二審「社会的な意識」でそれぞれ棄却…同性パートナーも『遺族』最高裁で破られた社会の壁
堀江弁護士: 「なぜ同性間において事実婚が成立する余地すら認められないのかは、説明されていません。一切の適用の余地を否定しており、端的に差別的です」 そして提訴から6年が経った2024年3月26日、最高裁は名古屋高裁の判決を“破棄”した。
判決では、今回の法律の目的・趣旨を「遺族らの精神的、経済的打撃を軽減すること」とし、「制度の目的に照らせば、同性パートナーも支給の対象」との初の判断を示し、名古屋高裁での審理のやり直しを命じた。ついに破れた、社会の壁。
堀江弁護士: 「一般論として認められたということは大きな一歩だと思っています。“事実上婚姻関係と同様の事情にあったもの”という法律の解釈にあたっては、同性の者もその中に含めるということを、はっきりと最高裁に明言してもらいました」 事件から10年、苦痛の表情ばかりを浮かべていた内山さんも、笑顔になった。
内山さんのコメント: 「今の気持ちは、一言で言えば『ホッとしました』になります。パートナーを殺害された苦しみは、同性パートナーでも、異性パートナーでも変わらないのに、違う扱いをされることはおかしいと思っていました。僕の裁判を応援してくれた人たちも喜んでくれていたら嬉しいです」
■内山さんの裁判は『希望』に… それでも不安抱える同性カップル
内山さんの裁判に注目していた人がいる。岐阜県関市で共に暮らす中村文亮(ふみあき 36)さんと、谷村祐樹(ゆうき 36)さんだ。
2人は2023年9月1日、岐阜県の「宣誓制度」で第1号として認定されたパートナー。生活を共にして約6年が経ち、互いの存在が生活の中で日々大きくなるなか、内山さんの判決を、自分のこととして注目していた。
中村文亮さん: 「法律でこうなっているからといわれてしまうと、できないことってまだまだあるんだなとすごく突きつけられてくるというか。自分たちもそういう判断をされるんだろうなという風に思いましたね。最高裁で判断していただけたことで、本当に希望を持てるようになった」 谷村祐樹さん: 「やっと男女であっても同性間であっても、パートナーとして、家族として暮らしていた事実が認められていく社会になっていく。それを最高裁がしてくれたんじゃないかなと感じました」 「パートナーシップ宣誓制度」で認定されたことで、自分たちの関係を「家族」だと自信を持つことができたと話すが、もしパートナーが不慮の死を遂げた場合を考えると、不安が尽きないという。