埼玉県立高校の共学化 男女共同参画苦情処理委員の勧告から1年 県教委の回答期限は今月末 県内137校のうち男子校は5校、女子校は7校 22年前にも共学化の勧告、賛否巡り大きな論争に 当時の県教委は「当面は別学維持」の判断
「男女別学の県立高校は早期に共学化されるべき」―。昨年8月、埼玉県男女共同参画苦情処理委員の勧告から1年。県教育委員会の回答期限が今月末に迫っている。これまで県教委は別学や共学の関係者に意見を聴いたり、中高生にアンケートで意見を募ってきた。伝統の維持などを求める在校生や卒業生らの反対の声が大きい中、県教委は勧告にどう回答するのか、判断の行方に注目が集まっている。 県立高校の共学化に反対 高校生有志らが県教委に3万4461人分の署名提出 「女子校に来て救われた」「女子がいると自分を包み隠してしまう」
発端は、昨年4月の「県立の男子高校に、女子の入学は認められるべき」という県民からの申し出だった。 弁護士らで組織される苦情処理委員は男女別学の具体的な状況などについて県教委と面談した上で勧告。「男女の役割についての定型化された概念の撤廃が求められている」として、共学化の早期実現を求めた。 現在、県内の県立高校137校のうち、男女別学は12校あり、全体の8・7%を占める。男子校は浦和、春日部、川越、熊谷、松山の5校。女子校は浦和第一女子、久喜、春日部女子、川越女子、熊谷女子、鴻巣女子、松山女子の7校で、旧制中学や高等女学校から今に至る伝統校が少なくない。 共学化を巡る問題は、2002年にも苦情処理委員が共学化を勧告したが、反対する約27万人分の署名が当時の知事に提出されるなど、賛否を巡って大きな論争になった。県教委は03年3月に「多くの県民の支持がある」「学校の主体性を尊重する」ことを理由に、「当面は別学維持」と決めた。
その際、「当面」がいつまでとするかを「具体的に決めなかった」と明かしていた。 あれから21年。全国では共学化が進み、別学が多く残っているのは埼玉、群馬、栃木県の北関東になっている。群馬は一部の学校で共学化が予定されている。 埼玉もその後、高校統廃合や一部の学科で共学化されたものの、今なお12校が別学を維持している。 苦情処理委員の勧告は宮城県や千葉県など他県の男女別学の廃止・共学化の推進状況にも触れ、こう指摘した。「男女共同参画のために共学化が必要であるとの認識は、すでに社会共通の認識に成熟している」