【陸上】福岡インターハイ男子5000m八千代松陰高の鈴木琉胤が日本人選手の大会最高記録の13分39秒85で2位
7月28日から8月1日まで、福岡・博多の森陸上競技場で行われたインターハイ陸上競技。大会4日目に行われた男子5000mでは18人が決勝に進み、鈴木琉胤(八千代松陰高3年・千葉)が日本人大会最高記録の13分39秒85で2位に入った。
「謙虚であること」を胸に走り続ける
男子5000mは決勝に進んだ18人中、5人が留学生だった。大会前から、3人の日本人選手が留学生に挑戦することを明言。その1人が、鈴木琉胤(八千代松陰高3年・千葉)だ。 「僕は記録会にあまり出ないので、タイムのインパクトはありませんが、独走でもコンスタントに13分台を出せると、県大会と南関東大会で立証できていたと思います。決勝は留学生が先頭を引くとわかっていたので、絶対に食らいつくつもりでした」 鈴木は1年時に、徳島インターハイの1500mで高1歴代3位の3分46秒82をマークして6位入賞、栃木国体の少年B3000mを高1最高記録の8分01秒26で制覇。世代トップの実力者ではあるが、今大会前の5000mの自己記録は昨年11月の13分51秒53だった。好タイムが出やすい記録会への出場が少ないため、13分30秒台を持つ3人の留学生や濵口大和(佐久長聖高3年・長野)に比べ、タイム的には劣っていた。それでも、5月の千葉県大会で13分56秒07、6月の南関東大会で13分52秒28と、独走で13分台を出して強さをアピール。自信を持って今大会を迎えていたのだ。 レースは鈴木の想定どおり、ガユ・サミュエル(札幌山の手高2年・北海道)が主導権を握った。先頭集団は3000mで5人に。そして、残り2周を切ったところでサミュエル、鈴木、エリウッド・カヒガ(仙台育英高3年・宮城)の3人に絞られた。鈴木は「留学生のペースが落ちることはない。自分が上げないと、1つでも上の順位は取れない」と、残り1周で出ようと考えていた。ただ、その残り1周で先にサミュエルがスパートを掛け、2人との差を広げていく。鈴木は「臆していては世界で戦えない。1人でも多くの留学生に勝つ」と、カヒガの前へ。1993年から続く留学生の優勝を阻止することはできなかったものの、13分38秒84のサミュエルに続き、大幅自己新の13分39秒85でフィニッシュ。2021年の福井インターハイで、佐藤圭汰(洛南高・京都、現・駒大3年)が出した13分41秒72を超え、日本人選手の大会最高記録を樹立した。 「この舞台で留学生と勝負することを目標にやってきました。佐藤選手の記録を超えれば、優勝、もしくは何人かの留学生に勝てるのではないかと思っていたので、自分の努力の答え合わせになったというか、形に表れた大会になりました」
2年時のインターハイ路線は、仙骨の疲労骨折により南関東大会で断念。最後の舞台となった福岡で、2年分の想いを込めて力走した。 陸上を本格的に始めたのは、高校に入ってから。小金北中(千葉)では、サッカー部に所属しながら陸上の大会に出場。3年生の7月末にサッカーを引退後、陸上の全日中に向けて3週間で仕上げ、3000mで全国制覇を成し遂げた。中学で陸上に導いてくれた岡崎崇典先生に教わった、「謙虚であること」を胸に走り続けている鈴木。「2位はうれしかったですが、まだ上に1人いるので」と、今大会の結果を喜びながらも歩みを止めることはない。 文/石井安里 写真/中野英聡
陸上競技マガジン編集部