ドーピング疑惑の払拭目指す 年内にも遺伝子研究に着手
遺伝的な体質が原因にもかかわらずドーピングと疑われてしまうケースに対処する手段を探る研究を、日本スポーツ振興センター(JSC)国立スポーツ科学センターが年内にも始めることが分かった。28日までに明らかにした。アスリートらから採取した血液を分析し特定のホルモンの量と遺伝子の関連を調べるような研究を想定する。 同センターの久木留毅所長は「アスリートを守る方法につながるのであれば取り組む価値がある」と話している。 研究では、禁止薬物などを摂取していないにもかかわらず血液や尿からドーピングを疑われる物質が検出される「偽陽性」への対処法を探る方針。アスリートの遺伝子を解析し、生まれつきの遺伝的な特徴が理由だと証明できれば疑惑を晴らすのに役立つとみられる。 同センターでは、遺伝子と競技の成績やけがのリスクとの関連を調べるため、強化指定選手2千人以上から血液などを収集したものの、研究成果を不適切に扱うと差別や選別につながるといった懸念から分析を停止している。新研究では、集めた試料の活用を検討する。