明石商、飛躍の春 チーム一丸、初の頂点へ(その1) /兵庫
<センバツ2020> ◇「公立の雄」期待熱く 初の頂点へ――。第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会が24日、大阪市北区の毎日新聞大阪本社であり、2019年秋の近畿大会で8強入りした明石商(明石市)の2年連続3回目の出場が決まった。19年は春夏とも甲子園で4強入りし、今や全国屈指の強豪校へと成長した「公立の雄」。4季連続の甲子園出場を告げる「吉報」に、ナインは歓声を上げ、紫紺の大優勝旗を手にすることを誓った。大会は3月13日に組み合わせ抽選会があり、19日に西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【韓光勲、黒詰拓也、望月靖祥】 「ありがたくお受けします。感謝の気持ちを胸に堂々とプレーしてくれると思います」。午後3時25分、大会本部からの電話に楠田俊夫校長が答えた。この瞬間、明石商のセンバツ出場が決まった。 校長室から足早にグラウンドへと駆けつけた楠田校長の姿を見て、練習中だったナインは急いで集合。楠田校長が出場決定を伝えて「先輩たちが培ってきた伝統の上に、君たちが新しい歴史のページを描いてください」と激励すると、ナインは喜びを爆発させ、「よしっ!」「甲子園へ行くぞ」と笑顔でガッツポーズを繰り返した。 3季連続の甲子園出場経験を誇る中森俊介投手(2年)、主将を務める来田涼斗外野手(2年)のプロ注目コンビが投打の柱だ。他にも、県選抜チームの一員として中森投手、来田主将とともに19年末の台湾遠征に参加した植本拓哉内野手(2年)、1年ながら19年秋の近畿大会で4番に座った福本綺羅(ひかる)外野手ら、豊富なタレントがそろう。 既に甲子園通算3本塁打(春2、夏1)を放っている来田主将は「粘り強い野球で日本一を目指す。確実性のある打撃でチームを引っぱりたい」と意気込む。中森投手も「一丸となって戦う姿勢は前年のチームに勝る。大事な試合で勝ちきれる投手になりたい」と一層の飛躍を誓った。 祝福に駆けつけた野球部OBの木村晋也さん(29)=明石市=は「狭間(善徳)監督や後輩たちなら決めてくれると思っていた。日本一の景色を見てみたい」と期待を込めた。 吉報から約30分。ナインは早くも気持ちを切り替え、練習に戻った。頼もしいナインの姿を見つめながら、狭間監督は「甲子園では守り勝つ泥臭い野球を見せたい」と静かに語った。 ◇号外手に祝福の嵐 学校や明石駅周辺で配布 明石商のセンバツ出場決定後、学校やJR明石駅周辺などでは、毎日新聞の号外が配られた。下校中の生徒やグラウンドに駆けつけた選手の保護者、ファンらが手に取り「野球部おめでとう」と祝福した。 号外にはランニングするナインの姿や主力の来田主将、中森投手の写真のほか、昨秋の大会成績が掲載されている。生徒は号外を見ると「かっこいい」「応援しよう」などと声を上げた。 明石商のサッカー部に所属し、昨年は春夏とも甲子園へ応援に駆けつけた津久茂蓮さん(2年)は「野球部の練習をいつも横で見てきた。昨年の甲子園4強を超えて、日本一を目指してほしい」と話した。 ◇県外のファンも 歓喜の瞬間をナインと一緒に味わおうと、多くの部員の父母やファンらがグラウンド周辺に集結。出場決定が告げられると、一斉にスマートフォンやカメラを構え、部員たちの姿を撮影していた。 近年の甲子園での活躍を見て明石商の大ファンになり、岡山県美作市から母と訪れたという高校3年の森田優美さん(18)は「接戦に強く、いつもわくわくさせてくれるチーム。開幕が待ち遠しい」。中森投手の父で野球部保護者会長を務める博さん(41)=丹波篠山市=は「悲願の日本一を目指し、開幕までしっかりと練習してほしい」と笑顔で話していた。 〔神戸版〕