古典バレエの最高傑作をIMAXで!『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』が公開
太陽王ルイ14世の時代にさかのぼり、350年以上の歴史を誇るバレエの殿堂、パリ・オペラ座バレエ。150人以上の団員を擁し、世界最高峰のバレエ団と呼ばれている。数々のレパートリーの中でも最も人気を誇るのが、伝説的な世界的スーパースターのルドルフ・ヌレエフが振り付けた古典バレエの最高傑作「白鳥の湖」。この度、今年6月の最新公演が「Filmed for IMAX」作品となって世界同時公開され、『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』として日本でも11月8日(金)より7日間限定で全国公開されることが決定した。 【写真を見る】ミュージカル映画『オペラ座の怪人』のすごさを振り返る バレエ作品がIMAX認証カメラによって収録された「Filmed for IMAX」作品として劇場公開されるのは今回が世界初。ティザー予告映像では、美しいシーンの数々がダイナミックなカメラワークで捉えられ、これまでに見たことのない臨場感あふれる映像として映し出されている。また、合わせて到着したメインビジュアルも、ダンサーがすぐ目の前にいるかのような迫力と、そのしなやかさと美しさを細部まで捉えたカットとなっている。大きなIMAXスクリーンでの上映は、劇場の最前列で生の舞台を観ているかのような臨場感のある美しい映像、音響のクオリティも高く、全く新しい鑑賞経験となるだろう。映像ならではの出演者のクローズアップや演技も楽しめる一方で、いままでのバレエ映像では得られなかった、パリのオペラ・バスティーユ劇場で実際に鑑賞しているような体験ができる。時には群舞の中で踊っているような没入感を感じることもできるはずだ。 クラシック・バレエの中でも、最も有名な作品である「白鳥の湖」は、先だってのパリ五輪での聖火リレーでも、バスティーユ広場でパリ・オペラ座バレエのダンサーたちが同作を踊るなかでエトワール2人によるリレーが行われるなど、バレエ団の象徴となっている。今年2月に開催されたパリ・オペラ座バレエの来日公演でも、「白鳥の湖」のチケットは瞬く間にソールドアウトとなり、絶賛の嵐が駆け巡った。 そのルドルフ・ヌレエフ版「白鳥の湖」の最大の特徴は、王子の深層心理に光を当てているうえ、王子ジークフリートの家庭教師であるヴォルフガングの正体が悪魔ロットバルトだということ。ヴォルフガングは王子を指導することを通して支配し、破滅へと誘う存在だが、この2人の師弟関係は愛情にも近い特別な絆ともなっている。通常の「白鳥の湖」よりもロットバルトはスタイリッシュかつ重要なキャラクターとなっており、3幕ではオディールと王子、ロットバルトの3人によるパ・ド・トロワを構成しロットバルトのソロも用意されているなど三角関係が強調されている。1幕では男性ダンサーたちによる群舞があるなど、男性ダンサーたちのダイナミックな踊りがたっぷり見られるのも注目ポイントだ。 さらに、スターダンサーで高度な技術の持ち主だったヌレエフによる振付らしく、白鳥のコール・ド・バレエでは細かな足捌き、音の一つひとつにパを割り当てるなど非常に難度の高い踊りになっており、世界最高レベルを誇るパリ・オペラ座だからこそ実現できる、宝石のようにきらめく精巧な群舞が堪能できる。華麗で洗練された舞台美術も見どころの一つとなっている。 白鳥オデット、黒鳥オディールの二役を演じるパク・セウンは韓国出身で、パリ・オペラ座では初めてのアジア人エトワール。華奢な身体で伸びやかに表現する繊細な抒情性、そして32回転のグラン・フェッテを完璧に決める強靭な技術とドラマ性を兼ね備えていて理想的なオデットだ。王子ジークフリートを演じるポール・マルクは、2020年12月、コロナ禍の最中に無観客配信された「ラ・バヤデール」のブロンズ・アイドルの演技でエトワールに任命された。現在のオペラ座のエトワールの中でもトップのテクニックを誇り、驚くばかりに高い跳躍と美しいつま先、オペラ座ならではのエレガンスを持ち合わせている。 今年のパリ・オペラ座バレエの来日公演でも、この2人のパートナーシップの見事さで、目の肥えた日本のバレエファンにも熱狂を呼ぶ至高のパフォーマンスを見せてくれた。悪魔ロットバルトを演じるのは、ドキュメンタリー「未来のエトワールたち パリ・オペラ座学校の一年間」やユニクロの広告にも出演していたプルミエ・ダンスールのパブロ・レガサ。黒い巻き毛が魅力的、演劇性にも優れたダンサーでありエトワール最有力候補の注目株だ。 またパリ・オペラ座バレエには現在、日本人、および日本の血を引くダンサーが多数活躍しており、本作でも、コリフェのエリザベス・パティントン正子、桑原沙希、カドリーユの山本小春、アリシア・ヒディンガが出演している。 世界最高峰のパリ・オペラ座の最高傑作であり、世界一美しいバレエ作品「白鳥の湖」を、前代未聞のIMAXのために作られた映像で現地さながらの臨場感たっぷりに堪能するチャンスは1週間のみ。ぜひこの機会に、IMAXの大スクリーンで人類初の奇跡の感動を体感してほしい! 文/平尾嘉浩