「利用者宅で飲食をしてはならない」ルールを破ってケーキを食べてしまった“介護ヘルパーの後悔”「これってヘルパーを守るためのルールだったんだ」
「佐東さん、今日はね、ケーキがあるの。ほら、昨日、息子と美術館に行ったでしょ。美術館のカフェに、今回の美術展にあわせたケーキがあったの。カフェで食べたらおいしくて、佐東さんにも買ってきたのよ」
「これってヘルパーを守るためのルールだったんだ」
昨日だったら大丈夫か。でも、本当に昨日なのかな。恵子さんはたまに数日前のことを「昨日」と言ったりする。勘違いってことはないだろうか。 カレンダーを見る。昨日のところにサインペンで「美術館」と書いてある。 セーフ。 素敵なお皿に乗ってケーキが出てきた。 「いただきます」と言って一口食べる。ぬるい。 「あ、そうだ。『おさがりいただきます』って言うのを忘れたわ」 恵子さんはあわてて仏壇に行き、手を合わせた。 えっ? これ、昨日からずっと仏壇にあったんですか? 「ヘルパーは利用者宅で飲食をしてはならない」 これってヘルパーを守るためのルールだったんだ。 「チョコかと思ったら、やっぱりアレだった」介護ヘルパーが“潔癖症の老人宅”で見つけた「ナゾの茶色い物体」の正体 へ続く
佐東 しお/Webオリジナル(外部転載)