シナイモツゴ「希少種」に 環境省が指定方針、福島県浜・中通りに生息のコイ科
環境省は6日、絶滅の恐れがあるとして捕獲や譲渡が禁じられる国内希少野生動植物種(希少種)に、福島県内で浜通りと中通りのわずかな場所に生息している「シナイモツゴ」や国内では長崎県対馬市のみに生息する「チョウセングンバイトンボ」など10種を指定する方針を示した。
福島県内では浜、中通りに生息
県内の淡水生物を展示しているアクアマリンいなわしろカワセミ水族館(猪苗代町)によると、シナイモツゴはコイ科で、県内では太平洋側のため池や沼、流れの緩やかな水路などで見られていたが、開発による生息域の消失や外来種の侵入などで生息環境が奪われ、壊滅的に数を減らしている。宮城県の品井沼にちなんで名付けられたといい、同館でも常設展示している。 同館の平沢桂副館長は指定候補になったことについて、「販売目的の捕獲や売買への抑止効果になるので歓迎したい」と話す。一方で、「希少種がこれ以上増えないように自然環境を維持し、幅広い保存活動を行うことが大切」と指摘し、「普段から生き物の多様性や外来種の問題に関心を持ち続けてほしい」と呼びかけた。
ゼニタナゴも候補に
また、今回指定候補になったコイ科「ゼニタナゴ」は浜通りでの生息が確認されていたが、東日本大震災の津波被害が起こって以降は環境に変化があったせいか発見されていないという。 この他、沖縄・与那国島に生息する「ヨナグニキノボリトカゲ」や、愛媛県に分布し、シカによる食害が問題となっている植物「シコクイチゲ」などが指定候補となった。国内の希少種は種の保存法に基づき、これまでにツシマヤマネコなど448種が指定されている。環境省は、2030年度までに700種に増やす方針。
福島民友新聞社