デイヴィッド・リンチの名言「アイデアとは…」【本と名言365】
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。不思議でシュール、夢と現実が曖昧に混ざり合ったような作品で知られる映画監督のデイヴィッド・リンチ。他の誰も真似できない彼の世界観はいかにして生まれたのか。彼の名言から紐解きます。 【フォトギャラリーを見る】 アイデアとは魚のようなものだ。 奇妙で強烈。一度観たら忘れがたいインパクトのある作品を発表し続けるデイヴィッド・リンチ。彼の創作の根源について語っているのが、『大きな魚をつかまえよう リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』だ。 リンチ曰く、芸術活動において重要なことは自分の頭の中にあるアイデアを具現化すること。 「アイデアとは魚のようなものだ。小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。でも大きな魚をつかまえるには、深くもぐらなければならない。深いところにいる魚は、より力強く、より純粋です。魚は巨大で抽象的です。そして、とても美しいのです」 リンチは瞑想を実践することで、内なる静寂にアクセスし、創造力を高めることができるという。そして、力強く、純粋なアイデアをキャッチすると、それを育てるプロセスが始まる。インナースペースに広がる風景、感触や雰囲気、テクスチャーを掴み取り、どのように形を変えて作品に取り込んでいくかを考える。その時に大事なことは、外からの要求や反応、流行にとらわれないことだという。 「自己に忠実であり続けるんだ。自身の声を響かせ、ほかの誰かに翻弄されないようにせよ。いいアイデアを拒絶してはならない。でも悪いアイデアには関わるな」 論理よりも自分の直感や感覚を重視するリンチ。夢のような質感、ユニークで深みのあるストーリーライン、奇妙なキャラクター。インナースペースに依拠したアイデアを忠実に映像に投影することで、彼の作品の特異性が確立されているのだ。
デイヴィッド・リンチ
1946年アメリカ生まれ。映画監督、画家、ミュージシャン。アメリカ映画協会の奨学金を得て映画『イレイザーヘッド』(1970)を制作し、カリスマ的人気を博す。『エレファントマン』、『ブルーベルベッド』、TVドラマシリーズ『ツイン・ピークス』ほか代表作多数。
photo_Yuki Sonoyama text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifum...