「苦しいホールと苦手なホールは違うで。苦しいホールを積極的に攻めてこそ活路も開けるんや」【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集⑯】
安全策ばかりでは進歩の妨げ
ーー「基本的に安全策は必要ない。挑戦、失敗、克服の過程をくりかえしながら技術を高めていく」 ボクが第一線でバリバリやってる頃、ハワイからやってきたデビッド・イシイいう選手がいました。プレーがやたらと遅い、というのもめちゃくちゃ慎重なんです。石橋叩いても渡らんようなプレーぶりでした。普通なら狙っていくところを、絶対的に安全な確率を踏まえたゴルフをする。見ているギャラリーもやきもきしたのと違いますかね。 ともかく安全策ばかりで日本でも何勝もしていきましたが、ボクにいわせれば積極策でいってれば何倍も勝ってる、そう思います。だって技術は十分持っているんですから。人の勝負哲学をなんやこうやいう権限はボクにはないが、ボクやったら挑戦してだめやったら、2位でもいいやないかという場面が何回もありました。 こんなこというのも、ボクは挑戦して失敗、それを克服してスキルアップをしていくというのが、ゴルフの楽しみというか、やりがいだと思うからなんです。スポーツなんだから冒険を楽しむ気持ちが大切と思います 特にアマチュアはそう思います。だから、ボクは谷越え、池越え、OBに向かって打つような場面では「拾ってきたようなボールは使わんと、新品ボールにしなさい」とアドバイスするんです。 アマには基本的には安全策は必要ないと思っています。進歩の妨げになるとさえ思っています。先程もいいましたが、挑戦、失敗、克服、この過程を踏んでこそゴルフの本当の“愉しみ”があるのですから。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班