「中国株には投資しないの?」と問われた“投資の神様”バフェット氏の答えは 証券アナリストが現地で見たバークシャー「4万人株主総会」の注目ポイント
質問は事前チェックなし!
総会では、バフェットさんが会場にいる株主の質問に答えていくのですが、オンラインから届く質問にもしっかりと対応しながら進行していきます。 ちなみに質問の内容については、事前に会社側によるチェックは行われず、バフェットさんも事前に内容を知らされていません。当日に質問を希望する株主は、8時過ぎに会場に設置されたブースに集まり、抽選に参加します。 実は、私は昨年この抽選に当たり、バフェットさんに直接質問するという栄誉を得ることができました。その際も、確かに事前に質問のチェックはありませんでした。当選した人には、自分が質問するだいたいの時刻が知らされます。あとは順番がくるまで、ブースにあるマイクの前に立ち、バフェットさんから呼ばれるのを待つだけです。 今年も質問をしようと抽選に参加しましたが、残念ながら2年連続の当選とはなりませんでした。 総会で出た質問に耳を傾けていると、やはり「後継者問題」は株主たちの大きな関心事であることが分かります。バフェットさんに何かがあった場合に、同社がこれまで成し遂げてきた成功を維持できるのか、といった見通しを探りたいのです。 バークシャーの日常的な業務は既に、2018年に同社の副会長に就任したグレッグ・エイベルさんとアジット・ジェインさんが行っていると言われています。 そうした点も踏まえ、バフェットさんは 「自身に何かが起きたとしても、会社の経営には問題がない」 と強調しつつ、後継者に関するほとんどの質問に対しては、 「時が来れば会社の幹部と取締役会が詳細を決定する」 と答えていました。
会場で起きた2つの拍手の意味
総会の中では、ここ最近バークシャーが日本株への投資を行ったことから、中国やインドの投資家が「バークシャーは中国やインド株式への投資はしないのか」と質問する場面もありました。 面白かったのは、香港の投資家が「中国株への投資はいつ行うのか」と質問した際に、会場の一部から拍手が起きたことです。どうやら、拍手は中国から来た株主たちによるものだったようです。 バフェットさんの答えは、 「ひょっとすると、将来そういうこともあるかもしれない。それは自分の時代のことではなく、それより先の時代に起こることだろう」 というものでした。 バフェットさんの日本株への投資は大きな成功体験です。ただ、米国以外にも魅力的な投資の対象があるのは事実ではあるものの、問題はバークシャーが米国外で投資を行う上でなんらかの優位性があるのか、という点だとも語りました。 彼はアメリカに投資することの長所も短所も理解しているが、米国外についてはアメリカと同じようには分からないと言います。バークシャーは世界のGDPの2割以上を占めるアメリカで事業を行っており、これからもアメリカ志向の会社であり続けると答えたのです。 そうすると、今度は先ほどよりもいっそう大きな拍手が湧き起こりました。やはりアメリカ人たちは、バークシャーには永遠にアメリカ志向のまま、国内企業に投資し続けていて欲しいと考えているようです。