自民・平井卓也氏、自民党AIを広報に活用「どの生成AIよりも自民党っぽい答えが返ってくる」
2020年以降の日本の活性化を目的に各界の有識者が意見交換を行う「BEYOND 2020 NEXT FORUM」が、都内で〈フェイクニュースを斬る! 生成AIの功罪〉についてセッションを行った。 【写真】「AI自民党」について解説する平井卓也氏 2022年から断続的に扱ったテーマ〈メタバースの可能性〉〈AIの今とこれから〉の続編となる本フォーラム。ファシリテーターにジャーナリストの堀潤氏、パネラーに初代デジタル大臣で自民党広報本部⾧の平井卓也氏、株式会社Robot Consulting代表取締役会長の横山英俊氏、アソビシステム株式会社代表取締役の中川悠介氏を迎えて前編、後編の2部構成で議論した。 今年は台湾、ロシア、インド、アメリカなど各国で選挙が行われ、有権者数は20億人以上にも上ると言われる “選挙イヤー”。そんな中で生成AIがもたらすフェイクニュースが問題となっている。平井氏は「インターネットが選挙に使われるようになり、いつかは通らなければいけない道だと思っている。生成技術が発展してどんなものでも作れるとなると、本物を見極めることが非常に難しい。民主主義へのひとつの脅威であることは間違いない」と危機感を募らせた。 横山氏は「法律が機能しなくなっているのは問題」として「日本でもAI事業者ガイドラインでは対処できないところまで生成AIが入り込んでいて、そこを欧米に合わせて法的に規制していくことになっているが、どこまで適用できてどこまで効果があるのか注目している」と指摘。 一方、中川氏はエンターテインメント業界の現状を「クリエーター自身はポジティブに使っているイメージがあるけど、僕らのようなタレントを守る立場になると、ルールがない中で何が事実で何がフェイクなのか分からなくなってきている。それがメディアに出てしまうと、フェイクのまま真実になっていってしまうことがある」と危惧。
民主主義と生成AIに関する取材も多いという堀氏は、1月に行われた台湾の総統選挙を例に「例えば、当時の蔡英文総統が軍服を着て視察に訪れ『私たちの軍はアメリカと一体化している。アメリカ政府に貢献するため女性の兵士を増やす』などと語っているが、これは生成AIで作られたフェイクニュースだった。それがSNSで拡散されて真に受けた国民が反発するなど、選挙の前に一国の総統の発言そのものがねじまげられるのは本当に恐ろしいこと」と解説した。 平井氏は「生成AIに限らず、すべてのテクノロジーは使う人の目的によってダークサイドに落ちたり、ジェダイの騎士になったりする。人間がどうコントロールするかが重要だ」と提言。さらに、選挙広報のあり方に話が及ぶと「私も自民党広報本部長として『自民党AI』という優れものを開発した。昨年9月から自民党の過去3年半のデータを学習させ、4つの基盤モデルを使い分けている。それで新しいポスターのキャッチコピーも作りましたが、どの生成AIよりも自民党っぽい答えが返ってくる」と驚きのエピソードを明かした。 セッションの模様は7月13日19時から公式YouTubeチャンネルにて配信する。