「無洗米」とぐ必要なし 白濁の正体〝でんぷん〟です
つや、舌触り悪くなる
「無洗米は本当にとがなくていいの?」。千葉県の50代女性から本紙「農家の特報班」にそんな疑問の声が寄せられた。無洗米は、普通精米には残っている「肌ぬか」を取り除いており、とぐ必要がないというのが売り。この女性も、米をとぐ手間を省くために買ったが、水を入れると白く濁るため、結局といでいるそうだ。 【写真で解説】普通精米のとぎ方 五ツ星お米マイスターお薦め 全国唯一の無洗米の認証機関、全国無洗米協会に聞くと「とがずに、そのまま炊いて問題ない」。白い濁りは米のでんぷんが水に溶けたものや、水を入れたときに出る細かな空気の泡によるもので、ぬかの残りではない。米の総合メーカー、東洋ライスは「精米技術は進歩している。むしろ無洗米をとぐと、炊いた時につやや舌触りが悪くなってしまう」(企画広報部)という。 なぜか。肌ぬかの内側には、米の粘りや甘味に関係するでんぷん質がある。肌ぬかを除去した無洗米をとぐと、でんぷん質が傷つき、多くのでんぷんが溶け出てしまうからだ。ただ、細かなごみが残っている場合など、気になるようであれば軽くすすぐ。米より多く水を入れてかき混ぜ、水を捨てる程度でよいという。 精米技術の進歩は無洗米だけにとどまらない。取材を進めていくと、普通精米も「今は昔のように力を入れてとぐ必要はなくなっている」との答えに行き着いた。無洗米と普通の精米。両方とも、よりおいしく食べる方法があるという。
無洗米モード搭載の炊飯器も
無洗米は肌ぬかを除去している分、通常の精米より粒がやや小さく、計量カップに多く入る。そのため全国無洗米協会は、無洗米をおいしく炊くには「水量が肝心」と強調する。 炊飯器の目盛り通りだと水が足りず、ご飯が固くなる場合があるため、無洗米1合(142グラム)当たり水大さじ1杯を加えて炊く。炊飯器に「無洗米」の目盛りがある場合、水量をそれに合わせる。 最近の炊飯器は工程に吸水を含み、無洗米と水を入れればそのまま炊ける製品が多い。「無洗米モード」があれば、それを選ぶ。 炊飯器メーカーの象印マホービンによると、無洗米モードは通常より予熱を長くして、吸水を促す。通常の精米は、とぐ際に一定量を吸水するが、とがない無洗米は吸水していないためだ。無洗米はでんぷんが水に溶けやすく、焦げたり吹きこぼれたりしやすいため、加熱の仕方も変えているという。