９回、左前に同点打を放つ森下（撮影・吉澤敬太）

　「ヤクルト６－７阪神」（５日、神宮球場） 　阪神が２点を追う九回、森下の適時打などで２点を奪い試合を振り出しに戻した。延長十回に佐藤輝が決勝ソロを放ち、苦しみながらも価値ある１勝を手にした。 　点差を２に広げられて迎えた九回だった。先頭・小幡の四球、１死後に代打・糸原が右前打でつないだ。一、二塁となり、近本は四球を選んで満塁と好機を拡大。ここでヤクルト・星をＫＯすると、代わった大西から中野が押し出しの四球を選んで１点差に迫った。 　なおも満塁から森下が左前に痛烈なタイムリーを放ち、ついに同点に追いついた。一塁ベース上で森下は渾身（こんしん）のガッツポーズ。さらに４番・大山は三遊間へ痛烈な打球を放つも、村上の好守備にあい、まさかのホームゲッツーで同点止まりとなった。 　阪神はこの試合、２点を先制した直後の三回に近本が中飛を落球する適時失策。２年ぶりのエラーが記録され、試合の流れは一気に悪くなっていた。八回には１点差に迫るも直後に浜地が長岡にソロを被弾する悪循環。それでも九回に昨季王者が意地を見せた。 　その裏の守備では守護神・岩崎が２死一、二塁のピンチ招くも、代打・塩見を打ち取って試合は延長戦に入った。そして延長十回１死から佐藤輝が木沢の変化球をとらえて右中間スタンドへたたきこんだ。 　開幕から不振にあえいだ佐藤輝は待望の今季１号。ベンチでは岡田監督が笑顔で出迎え、ナインから手荒い祝福を受けた。「最高です！」と絶叫した背番号８。昨季王者が苦しみながらも大きな１勝を手にした。