【聖地巡礼】『呪術廻戦』「渋谷事変」の場所を訪れて分かった想像以上の作り込みと再現度
観た者にとってトラウマの場所として映るほど、鮮明に、残酷に渋谷を描いていたアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」。 【写真】「聖地巡礼」してみた「渋谷事変」の実際の場所(全22枚) 日頃よく渋谷に行く筆者は、見慣れた場所が戦場になり、次々と破壊されていく街の様子を観て恐怖を感じた。同時に、知っている場所でキャラクターたちが戦っているからこその興奮もあった。渋谷に行ったことがない者にとっては、渋谷のイメージが塗り替えられた、衝撃的な画であったと思う。本記事では作中では渋谷をどう描いていたのかを、振り返ってみたい。
渋谷を象徴する施設を見事に再現
まず、渋谷の街の再現度の高さに驚いた。SHIBUYA 109をはじめ、渋谷マークシティや東急百貨店本店、セルリアンタワー、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリームなど、渋谷を象徴する施設が彼らの舞台となる。 渋谷駅連絡通路での禪院真希、七海建人、禪院直毘人と陀艮との戦いは、天井が高く、それなりに広い空間を活かした戦いであった。 象徴的な「SHIBUYA MARK CITY」の文字だったり、岡本太郎の『明日の神話』を彷彿とさせる絵が飾ってあったりと、実際の連絡通路に寄せている。連絡通路の開放的な窓から見える渋谷の街並みまでが細かく再現されていた。 そして現在(2023年12月)は閉店している東急百貨店本店も、釘崎野薔薇、七海と重面の戦場となった。煌びやかなハイブランドのディスプレイが破壊され、ツヤツヤだった床はガラスの破片や血で汚れていく。お店が汚れるとか、修復不可能とか、些細なことを気にしている次元ではないことがわかる。 また虎杖悠仁、伏黒恵が粟坂二良と戦った、セルリアンタワー前の首都高速3号渋谷線は、360度ビルが立ち並び、案内標識まで再現されていた。日頃は絶対に歩けない場所だからこそ、そこで戦っていることに気持ちが高揚する。 渋谷の街に並ぶお店ひとつひとつも、再現度が高かった。伏黒と甚爾が戦った飲み屋が連なる道玄坂1丁目や、虎杖が歩いた109前の「マツモトキヨシ」~「大盛堂書店」も、お店の並びがリアルに再現されていた。 お店ひとつだけではなく、その隣も、またその隣も実際のものと同じように描くことで、私たちが知っている「渋谷」になっていく。看板のフォントや色使いだったり、少し変色した壁だったり細かい描写が、より現実に近づけているのだろう。 現実に近づいた結果、知っている場所に虎杖たちがいると感じ、より作品に入り込める。そしてそこで戦いが起きることで、渋谷がトラウマの場所にもなり得るのだ。