知らないとヤバいチャリの「新常識」。改正道交法施行につき罰則強化、"ながらスマホ"で懲役刑も!
実は罰則を受けるのはチャリの運転者だけではない。 「今回のポイントは、酒の提供者や自転車の提供者も罰則の対象になったことです」 普通に考えて、チャリの酒気帯び運転も、ながらスマホも危険極まりない行為だ。では、なぜ人は危険な行動を選択してしまうのか。そこにはどんな心理が働いているのか。犯罪心理学者で東京未来大学副学長の出口保行(やすゆき)教授はこう解説する。 「危ないとわかっていても危険な行為をしてしまうことを"リスクテイキング"といいます。その背景にあるのは、"センセーション・シーキング"。つまり、刺激を求めること。人というのは何か刺激を得ると、さらに強い刺激を求めるようになるのです」 危険運転がエスカレートするのもそのため。さらに出口教授はこう続ける。 「自分は事故を起こさないという慢心のような妙な自信も背景にあります。また、現代社会では"スマホ中毒"といわれるように、スマホを見ることをやめることができない現象が起きています。 スマホで何かを見ていないと安心できない、メールやLINEが来ていないか常に確認しないと安心できないなど、見ていないことで情緒が不安定になったり不安が強まったりします。そうすると運転中もつい見てしまうという現象につながります」 ■改正道交法により事故や違反は減るのか 実は今回の改正道交法の施行により、モペット(ペダル付きの原動機付き自転車)のルールも明確化されたという。前出の青木氏が説明する。 「モペットは電動モーターやエンジンで走行できる二輪車で、法律上、一般原付バイクなどに該当します。当然、運転免許が必要ですが、ペダル付きのため自転車と勘違いされやすく、無免許運転などの違反が相次いでいました」 実際、東京都内ではモペットによる人身事故の件数が、今年9月の時点で、すでに昨年を上回っているというから、かなりヤバい状況だ。
「今回の改正道路交通法ではペダルをこいで運転するモードに切り替えても、自転車と同じ扱いにはならず、バイクの交通ルールを守る必要があります。具体的にはナンバープレートの取り付け・表示やヘルメットの着用、そして言うまでもありませんが、無免許運転はアウト! もちろん、歩道を走ることもできません。事故や違反を防ぐには利用者だけでなく、モペットに興味を持つ人たちにも、モペットはバイクと同じ交通ルールなのだと認識してもらうことが大切では」(青木氏) ちなみに11月上旬、東京都内の繁華街(新宿、渋谷、上野など)ではナンバープレート未装着のモペットが信号無視、逆走、歩道走行などやりたい放題! 加えて、ながらスマホのチャリもワンサカ......。今回の罰則強化によりチャリやモペットの悪質運転は減るのだろうか。自動車評論家の国沢光宏氏は言う。 「改正道交法が施行された11月1日に警察が取り締まりを行なう姿を御用メディアが大々的に取り上げていました。しかし、重要なのは警察が粘り強く新ルールを周知すること。そして、自転車やモペットの違法運転の取り締まり強化を続けられるかどうか」 まだまだチャリやモペットを軽く考える人は多い。しかし、命を落としたり、奪ったりする事故もありえる。襟を正して乗るべし! 取材・文/週プレモビリティ班 イラスト/アフロ 写真/時事通信社