インタビュアーの隠れた努力【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第118回
選手の"人となり"が垣間見えるのがインタビュー。その人の魅力を引き出すには、インタビュアーにも技量が求められます。本日は僭越ながら、インタビューのコツについて私が思うことをお話しさせてください。 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー スカパー!さんで配信されている『スワローズ研究所』(スワ研)で、私は毎回、選手にインタビューする機会をいただいています。どの選手にオファーするかは特に決まっておらず、こちらからご提案する場合もあれば、球団から提案していただく場合もあります。 毎回のようにインタビューは新鮮ですし、常に勉強になることばかりです。「インタビューで大事なもの」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?おそらく多くの方が、「準備」と思ったのではないでしょうか。相手のことを事前にしっかり調べた上で、こちらの聞きたい話をそっと引き出すのがインタビュアーの仕事だと私も思っています。 しかし一方で、準備を大事にし過ぎると、事前に用意した質問をするだけに終始してしまって(もちろん、それも大事なことですが)、面白味のないインタビューになってしまうことがあるんです。これまで私も、何度も反省をしました。 それらの経験を踏まえた上で思うのは、インタビューで大事なのは、「即興の掛け合い感」ではないかと。ジャズのフリーセッションのように、相手がこうきたら、自分がこう応える。それに対して、さらに相手が乗ってくる......。 インタビューも、基本は人間同士の会話ですから、「これを聞こう」と決めすぎると流れが悪くなってしまうと感じます。この仕事を始めたばかりの頃は余裕がなくて、相手が質問に答えている間に、次の質問のことを考えてしまっていました。その結果、相手の話をしっかり聞けていなかったんです。そういうインタビューを振り返ると、質問ごとにスパッと話の流れが途切れていて、相手のよさが引き出せてないことが多かったですね。 2年目くらいからは自分の感性を大事にして、ほかに聞くことがあったとしても、「ここをもっと深掘りしたい」と思った瞬間、そこをどんどん掘り下げることを心がけるようになりました。そうやって面白い話を引き出せた時は、満足感がありましたね。 極端な言い方かもしれませんが、ひとつ目の質問とその答えが面白かったら、その質問だけで終わったっていい。そう開き直ってから、臆することなくインタビューに臨むことができるようになりました(実際には、きちんと与えられた役割を果たすように頑張っています!)。