インタビュアーの隠れた努力【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第118回
あと、インタビュー中は相手の目を見ますね。尊敬する気持ちを前面に出しすぎず。上手に抑えて(笑)、「あなたのお話を聞かせてください」という姿勢を示します。話が面白い時は自然と前のめりになりますが、そういった体の動きも大切です。 先日、ヤクルトの石川雅規投手にインタビューしたのですが、きちんと長くお話を聞くのは初めてで、とても緊張しました。私はそのインタビューの前に、「自分が入団したての選手だとしたら、偉大な石川投手が近くにいた時に何を聞きたいだろう」とイメージを膨らませました。そうしたら聞きたいことが次から次へと溢れてきたので、「この手法は今後も使える!」と思ったのでした(みなさんも、ぜひご活用ください)。 インタビューで大事なことはたくさんありますが、私が一番大事だと思うのは「相手を好きになること、興味を持つこと」です。 そう言ったら、担当さんから「興味がない相手だったらどうしたらいいの?」と意地悪な質問が飛んできましたが(笑)、そんな時の正解は「相手のことを調べまくること」だと思っています。どれだけ興味がなくても、調べているうちに絶対に聞いてみたいことが出てきます。そこまで徹底して相手のことを調べる。それが私の"インタビュー道"なのかもしれません。 そういえば、嬉しいことがありました。この連載の準レギュラーとも言えるヤクルトの岩田幸宏選手と久しぶりにお会いしたのですが、連載に岩田選手のことを書きまくっていることに気づいてしまったらしく(笑)、「ありがとうございます」とお礼の言葉をいただきました。 さらに、「実は、インタビューを受けたのはスワ研が初めてで。それが山本さんでよかったです」と言ってくださったのです。インタビュー当日の岩田選手は、初めてとは思えないほどスラスラと自分の言葉で話してくれたのがとても印象的でした。なので、そんなことを言っていただけるのは、インタビュアー冥利に尽きますね。しみじみ。 インタビューの主役はもちろん選手ですが、インタビュアーの隠れた努力もあるということを、ほんのちょっとだけでも知っていただけたらうれしいです。それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作