米10年債利回りは5%にも、大量の損切り売り発生の恐れ-バンガード
(ブルームバーグ): 米国債市場は大規模な売り浴びせを誘発する危険性がある水準に近づいており、10年債利回りは5%に達する可能性があると、バンガードが指摘した。
バンガードの国際金利責任者、アレス・クートニー氏はインタビューで「われわれは今、危険水域にいる」と述べた。利回りの小幅な上昇でも4.75%という重要な水準を超えれば、投資家は価格上昇を見込むポジションの解消を強いられ、利回りを2007年の高水準まで押し上げるような売りの波が押し寄せる可能性があると語った。
投資家は昨年終盤に、米連邦準備制度の急速な緩和サイクルを予想して米国債を買った。しかし、米経済の持続的な力強さを示唆するデータが発表されるにつれ、市場は売りに転じた。
バンガードのアクティブ資産1兆7000億ドル(約260兆円)の運用に携わるクートニー氏は、多くの投資家が損失を限定するために米国債持ち高の売却を余儀なくされていると語った。
「まだロングポジションが残っていると思う。もしそれが整然と片付かなければ、無秩序な動きが最終的に利回りを5%に押し上げる可能性がある」と述べた。
インフレ率の高止まりを示すデータが発表されたことで、価格下落は過去1週間に拍車がかかった。10年債利回りは16日に4.7%近くまで急上昇、18日には4.57%まで後退した。短期金融市場が見込む米利下げ開始時期は9月と、わずか1カ月前の6月から大きく後ずれした。
原題:Vanguard Warns 10-Year Treasury Yields Risk Spiking Back to 5%(抜粋)
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Naomi Tajitsu