隠れ1位だったロッテ・石川が阪神から6勝目を奪い2冠に踊り出る!
宝刀・シンカーも冴えた。 石川のそれは、逃げるように落ちるもの、フォークのようにストンと落ちるものと、状況に応じて数種類の落ち方に投げ分けられている。セ・リーグでは、横浜DeNAの守護神、山崎がシンカーの使い手だが、先発投手で、しかもストレートと腕の振りがほとんど変わらず、数種類の魔球シンカーを操る投手は他には一人も見当たらない。伊東監督は「前回の広島戦(5月31日、7回無失点)もそうだったが、セの打者には慣れないシンカーが有効」と語っていたが、初めて対峙する阪神打線が、その魔球に手を焼いたのも無理はない。 金本監督も、試合後、「得点圏に進むとスイッチを入れギアを入れてきた」と、その投球術に脱帽した。 それでも石川は「ストレートが今ひとつだったから、鳥谷さん、福留さんは、あまり(シンカーを)振ってくれなかった」と反省した。この向上心こそが、石川を防御率1位に押し上げている原動力。 シンカーの効き目があるのは、狙いを絞れないほど、ストレートに球威があることが条件になる。 7回には、失投が目立ちはじめて二死一、三塁から福留にタイムリーを許し1点を返され、ゴメスを迎えたところでマウンドを益田に譲った。その益田は、ゴメスを見事に三振に切ってとり、内、西野の無失点必勝リレーで、石川の6勝目につなげた。 落合投手コーチは、開幕前、“裏エース”に石川を指名していた。わざわざ開幕3連戦から外して、火曜日から始まる裏カードの1番手に石川をあてはめた。 「昨年、石川は12勝12敗。でも、実力からすれば、石川で貯金を作りたい。涌井は、相手がエースになるので、貯金は石川で稼ぐ。そこがロッテの今季の投手陣の命運を握る」 そこまでの期待を寄せて、石川を“火曜日の人”とした。アクシデントがあってローテーションを外れた時期もあり、規定投球回数に足らず、長らく防御率ランキングのトップに出てこない理由のひとつにもなったが、これで6勝2敗。落合投手コーチの思惑通りに、チームの5つの貯金のうち4つを石川が作っている。 伊東監督は、「どうもしっくりこない」と、阪神から2点しか取れなかった打線にストレスが溜まっているが、ソフトバンクを追撃するには、裏から表に躍り出たエースの石川が、ここからどれだけ貯金を作るかが続けて重要なキーマンになる。