隠れ1位だったロッテ・石川が阪神から6勝目を奪い2冠に踊り出る!
千葉ロッテの石川歩(28)が7日、千葉のQVCマリンで行われた交流戦の阪神戦に先発、6回3分の2を投げ、10安打を浴びたが、要所を締めて1失点に抑えて6勝目。防御率1.16と、勝ち星の2部門で一躍パ・リーグのランキングトップに踊り出た。規定投球回数に至らず、これまで“隠れ防御率1位”だったが、投球回数が62回と伸びたため、ようやく表の世界にその名前が出てきた。 それでも石川は、「どうせ、またすぐに消えますよ(笑)。防御率が1点台だからと言って、次も抑えられるかと言えば、それはない。調子が悪い中で勝てたことは嬉しいが、自分の中では不安。そんなことを意識するよりも1回、1回の結果が大事」と、どちらかというと、困惑の表情を浮かべた。 4連勝で6勝目を手にしたが、調子は最悪だったという。 「ハム戦(5月24日、5回無失点)からずっと感覚がよくない。変化球はいいが、ストレートのコントロールが悪かった。狙ったところに行っていない。まだランナーが出たところではコントロールできていたけど」 悪いなりに要所を締めるのが、レベルの高いパで2冠に立った投球術である。 無死一、二塁の大ピンチを二度背負ったが、いずれも意図を持って阪神の拙攻を呼び込んだ。 1-0のスコアで、横田、鳥谷に連打を浴びた3回無死一、二塁には、北條に対して、初球にインハイを攻め込んでファウルにさせた。続いてカーブをまたファウル。まだ勝負どころでバントを決める技術のない北條を揺さぶり、スリーバントを自らの正面にさせて、三塁で封殺した。6回無死一、二塁でも、狩野の初球にまたインコースをストレートで攻めてバントをファウルの失敗に終わらせている。 「強く打球を転ばせたかったので」と石川。バント封じの狙いもズバリである。 結局、阪神ベンチはサインをヒッティングに切り替え、最後は宝刀シンカーで空振りの三振。続く月間MVPの発表があったばかりの原口も、カーブで三塁ゴロ。さらにこの日、2本のヒットを許している高山を迎えたが、ここでは田村のリードに助けられた。 カウント1-2と追い込んでサインはカーブ。 「シンカーか、ストレートかと思っていた。考えてもいなかったサインだった」と石川が考えるくらいだから、高山もウイニングショットのシンカーが頭にあったのだろう、。ワンバウンドになるカーブに手を出してスイングアウト。「そこだけでなく田村が打者の頭にないボールを選択してくれた」。1点を争うゲームでバッテリー間の心理戦でも、千葉ロッテが、若い阪神よりも一枚も二枚も上手だった。