巨人・大城卓三の2軍降格は「懲罰ではない」 阿部慎之助監督の「真意」は?元巨人コーチが読み解く
プロ野球巨人の大城卓三捕手(31)が2024年5月8日に出場選手登録を抹消された。昨シーズンは正捕手として134試合でマスクをかぶった大城が、シーズン序盤で2軍降格となった。今シーズンから指揮を執る阿部慎之助監督(45)の意図、真意はどこにあるのか。 【写真】2軍で調整中の大城 J-CASTニュースは巨人の元戦略コーチで、現役時代の阿部監督を指導した経験を持つオイシックス新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏(58)に分析してもらった。 ■「今後10年近く正捕手として定着してほしい」 阿部監督は今シーズン、大城、小林誠司(34)、岸田行倫(27)の3捕手を併用して起用している。大城の出場は23試合にとどまり、打率.188、本塁打ゼロと、ストロングポイントとなる打撃の不振が続いている。 スポーツ紙の報道によると、阿部監督は大城の2軍落ちについて「1番のメインは気分転換。素晴らしいものを持っているんだから『野球が楽しいな』とかね。そういった原点に戻ってきてくれと言った」と説明したという。 このような背景を踏まえたうえで、橋上氏は大城に対する阿部監督の考えに言及した。 「大城選手の年齢を考えると、今後10年近く正捕手として本当の意味で打てるキャッチャーとして定着してほしいというのが阿部監督の希望だと思います。そういう意味で言えば、現状いろいろな部分で物足りないところがあるのでしょう。この物足りない部分は、阿部監督自身が昨年までに感じていたところだと思います」 さらに「物足りない」部分を具体的に挙げて解説した。
「大城選手が40歳くらいまで不動でいてくれれば...」
「これまでにも、大城選手は大事なところで交代させられたケースが多くありました。小林選手や炭谷(銀仁朗)選手(現西武)のような控えのキャッチャーで守りに特化したキャッチャーがいたので、終盤の大事なところになると抑えのキャッチャーが出てきていた。そのため、大城選手には本当の意味の修羅場、経験値が足りていない。勝っている時に逃げ切るための最後の1イニングのバッテリーはどれだけ大変か。キャッチャーとしてここが1番大事だという場面を小林選手や炭谷選手に任せていたところがあるので、阿部監督が物足りなさを感じていたと思います」 原辰徳氏(65)の政権下では、正捕手として21年から3年連続で100試合以上に出場した大城。橋上氏は今シーズンの大城の起用法は、捕手出身の監督ならではのものだと指摘した。 そして、阿部監督の大城への思いをこう「代弁」した。 「メインで出場していてケガもないキャッチャーを2軍に落とすことはあまりないことです。そこにはキャッチャー出身の指揮官のキャッチャーに対する思い入れや、大城選手に対する思い入れなどが出ている。加えてチームが勝つため、上昇していくためには、いかにキャッチャーが重要なのかという意味での措置だったのでしょう。一部で『懲罰ではないか』と勘繰られていますが、全くそんなことはない。逆に、大城選手とチームの今後を考えての措置だったと思います」 続けて次のように持論を展開した。 「打てるキャッチャーという称号を与えるにはまだまだ物足りないところはある。だが、可能性としては、現状、巨人の中で打てるキャッチャーとしてレギュラーを張れるのは大城選手であることに間違いない。年齢的なものを考えて、大城選手が40歳くらいまで不動でいてくれれば、チームとしても安定した戦いができるというのが阿部監督の考え方なのでしょう。巨人はここ何年間で組織的に崩れてきた。これを1年で立て直すのはなかなか難しい。どこから手を付けるかというところでいうと、まずはチームの土台となるキャッチャーからと考えたと思います」