忠犬ハチ公が「お手」をする写真、91年前の読売新聞に…亡き飼い主・上野英三郎博士を待つ姿紹介
ただ、嘉三郎さんは五味さんが子どもの頃に亡くなっており、五味さんは詳細な撮影の状況や撮影者について知らされていなかった。ハチ公に詳しい同館学芸員の松井圭太さん(56)も読売新聞での掲載を把握していなかった。
一方、当時の紙面を見ても、写真の撮影状況や撮影者の名前は記載されていない。読売新聞は戦時中の45年5月、空襲により銀座と有楽町にあった社屋が焼け落ち、多くの資料が失われたこともあり、写真の詳細は不明なままだ。
松井さんは「当時の新聞記者は撮影した写真を被写体となった人に渡すことが多く、ハチ公の別の写真でもそうした事例がある」と指摘し、今回の写真について、「読売新聞の記者やカメラマンが撮影して嘉三郎さんに渡した可能性がある」と推察。「嘉三郎さんが亡くなり、戦争もあったのに五味さんの家族が写真を90年以上持ち続けていたのは、それだけハチ公のことを大事に思っていた証拠。当時は子どもから大人までみんなハチ公が好きだったのでしょう」と話した。