いま台湾と断交し、中国と国交樹立する島国ナウルの「計算」
東大先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾と断交し、中国との国交を樹立する声明を発表したナウルについて解説した。 【写真】日本の与論島とほぼ同じ大きさの「ナウル島」
ナウルが台湾と断交し、中国と国交樹立へ
飯田)ナウルが台湾と断交し、中国と国交を結ぶという声明を出しました。ナウルは南太平洋の島国です。台湾からの引き剥がしのような状況が続いているなか、このタイミングで声明を出しましたが、前々から準備していたのでしょうか? 小泉)この話は以前から政治問題としてありました。ナウルは日本人観光客も年間に数人しか行かないような小さな国ですが、国連に行けば当然、1票があるわけです。そのような国が中国のターゲットになると考えると、ある意味では賢い戦略だと思います。 飯田)そうですね。 小泉)かつてのソ連の第三世界進出を思わせるところもあります。「経済を支援するから」とか、「インフラをつくってあげるから」などと言って、国を取り込んでいくわけです。冷戦時代にもグローバルサウスをめぐる戦いはありましたが、それと同じようなことが「再び太平洋で起こっているな」と感じます。
台湾総統選の直後のタイミング
飯田)手法としても、ソ連型のやり方を中国が真似する部分はあるのでしょうか? 小泉)中国の手口がどういったものかはわかりませんが、それと日本のODA(政府開発援助)外交はどう違うのかと言われると、外見上はそれほど変わらないと思います。どこの大国も必ずやるような取り込み策です。しかし、中国独自の部分もきっとあるのでしょうね。 飯田)台湾総統選が終わった直後ですが、このタイミングを狙っていたところはあるのでしょうか? 小泉)それはあると思います。ここまであからさまなタイミングもなかなかないですし。逆に中国が、ナウルが台湾と断交するタイミングに対し、影響力を与えていたかどうかも考えますよね。もし、そこまで影響を与えていたのであれば、相当なものだと思います。