<春に輝け・常総学院の挑戦2021>創部37年、応援指導部 本番で披露、信じ練習 マスク姿、間隔空け3割の声量で /茨城
8日夕方、校舎中央に位置する時計台の前に、エンジ色の学ランなどに身を包んだ生徒6人が姿を見せた。集まったのは、創部37年の「応援指導部」メンバー。マスク姿で間隔を置くと、拍手といった応援の基本的な型や、野球応援の流れなどを繰り返し練習した。県独自の緊急事態宣言下、本来は最初に行うはずの発声練習は省かれ、声量も通常の3割程度。本番の応援方法も見えないまま、懸命な練習を続けている。 応援指導部は、県内でも希少な通年活動の応援団だ。1983年の学校創立と同時に発足した野球部を盛り上げるため、「応援委員会」が編成されると、85年に正式に応援指導部に改められた。近年は高校の応援団の多くが大会前の臨時編成。珍しさから入部する生徒も少なくないという。 団長の吉溪晶弥(まさや)さん(17)は常総学院中出身。中学1年の時、当時常総学院高2年だった兄の樹道(しげみち)さんが甲子園で応援する姿をみて憧れて入部した。「小さな子供も含めて、お客さんと一体になるのが楽しい」と話す。 だが2020年度は新型コロナウイルスの影響で応援を披露する場が激減した。野球競技そのものは代替大会などが開かれたが、無観客試合が基本とされたためだ。 学校説明会といった披露の場は残されていても、部員からすれば「野球応援がメイン」なのが事実。5年ぶり10回目のセンバツを決めながらも、新型コロナウイルスの影響で応援の形態は決まっていない。吉溪さんらが「野球部のセンバツ出場に感謝の気持ちを込めて応援したい」と意気込む中、顧問の柳下健一教諭(58)は「生徒たちがすごく楽しみにしている。どういう形でもいいから、やらせてやりたい」と願う。 「できることをやっていこう」。練習の最後、柳下教諭が呼びかけると、生徒たちからは力強い「押忍(おす)」の声が上がった。【長屋美乃里】=随時掲載