高級志向のシティホテルが「プロレス」「ものまねショー」に転換する理由
【北海道・札幌】かつてのシティホテルといえば「敷居が高い」と思われていたもの。開かれるイベントも何万円という高額チケットのディナーショー…。そのような高級志向から裾野を広げようと、さまざまなイベントに取り組んでいるホテルがあります。
「楽しさランキングナンバーワン」のホテル目指す
東京ドームホテル札幌(札幌市中央区)は、当時は「札幌後楽園ホテル」という名称で、1988(昭和63)年に札幌市中心部を横切る大通公園を見渡せる一等地にオープンしました。オープン当初からクリスマスディナーショーなど、いわゆる「シティホテルらしい」イベントを続けてきましたが、今から10年ほど前に大きく方針を転換。「楽しさランキングナンバーワンホテル」を目指し、これまでのホテルではあまりなかったイベントを打ち出してきました。 「ディナーショーのような高額なイベントは、全体的に縮小傾向にあると思います。私たちのホテルも、設立当初から続けているイベントは家族向けのヒーローショーイベントくらいで、ディナーショーは行っていません」と語るのは、同ホテルの高田彰子さん。現在はイベント全体を統括していますが、方針転換した10年前はブライダルを担当していました。 「当時は、『ホテルに気軽に来てもらえるようになって、ホテルのブライダルに興味を持つ人が増えてほしい』と思っていました。ホテルのブライダルも、いきなりだと敷居が高いと思いますし、何度か利用したことのあるホテルだとブライダルでも使っていただきやすくなると思います。」(高田さん)
時代の変化に合わせてイベントも変化を
そこで同ホテルがスタートさせたイベントが「酎楽園(ちゅうらくえん)」という焼酎の飲み比べイベントと、夏恒例のものまねショー(今年は8月22日、ゲストはコージー富田さん)です。 高田さんは「これまでホテルをあまり利用していなかったお客様が、一気に増えました。時代が変わるように、ホテルも変わらなくてはいけない。お客様のニーズに応えることで、気軽に利用できるホテルを打ち出しました」と、振り返ります。 そして先日もレポートした「ホテルプロレス」。女性同士のグループが増えるなど徐々に浸透、来月7月11、12日には第3回開催も決定しました。 「ものまねショーに関しては、ホールとは違いゲストの方がお客様のテーブルを回ったり、気軽に写真撮影に応じたりする身近さが大きな魅力だと思います。プロレスも、大日本プロレスとアイスリボンのレスラーの方々がファンサービス旺盛で、試合の後にも関わらずビールサーバーを担いでサーブしてくれるなど、今後もホテルでしか提供できない演出を継続していきたいです」(高田さん) これらのイベントは、普段は宴会や結婚式が行われている場所。その場所を、ちょっとした工夫で気軽に訪れられる場所に変えています。 「最近は、昼間にやっているスイーツビュッフェを夜にやってみるなど新たな試みも行っています」と高田さん。今後、このようなオリジナリティあふれる自主企画を行うホテルが増えていくかもしれません。