天心ダウン場面がCM突入で映らず非難、苦情殺到のフジRIZIN生放送不手際はなぜ起きたのか?
総合格闘技イベントの「RIZIN.16」が2日、神戸ワールド記念ホールで行われ、メインのISKA世界フェザー級タイトルマッチでは、那須川天心(20、TARGET/Cygames)が、同フリースタイル世界バンタム級王者、マーティン・ブランコ(30、アルゼンチン)に2回2分19秒にKO勝利したが、生中継したフジテレビの放送中にCMが入り最初のダウンシーンや試合のハイライトシーンが視聴者に届かないという前代未聞の不手際があった。 ネット上では肝心の場面を見れなかった視聴者からの非難と苦情が殺到した。 「ライブの意味が全くない放送内容だった」「一番のハイライトでCM入れるとは前代未聞です」「本当に最低としか言いようがない」「CMが終わったと思ったら勝負も終わっていた。楽しみもそこで終わり」と、直接的な不満、怒りをぶつけるものから、「フジは何をやっても3流バラエティに持って行こうとするから、スポーツやニュースなどの専門番組が育たない」「こういう視聴者無視の手法がますますテレビ離れの原因になる」というフジテレビの局の体質に関する批判の声まであった。 なぜファンが“放送事故”とまで評した不手際は起きたのか。 試合後の大会総括会見で榊原信行実行委員長は、自らこの問題に触れて謝罪すると同時に不手際が起きた背景を説明した。 「今回、初の3試合生中継というチャレンジをしたが、(ネット上で)大炎上になっていると聞いている。CMが入って最初のダウンシーンが入っていないことが大問題になっている。地上波の環境の中で(3試合生中継の)経験がなく、前向きなチャレンジをして起きた残念な事象。(目付近の)カットやアクシデントがあれば必ずCMに行く決め事を作っていた。その1分間の尺でドラマチックなことが起きた。本当に申し訳ない。生で流したことに意味はあるが、今後、こういうことがないように整えていきたい」 午後7時から9時まで2時間の枠で放映された「RIZIN.16」では、浅倉カンナ対山本美憂、浜崎朱加対ジン・ユ・フレイ、そして、メインの天心戦の3試合が生中継され、問題の“CMぶっこみ事故”は、午後8時20分過ぎから始まった、その天心の世界戦の2ラウンドに起きた。天心のパンチによりブランコが右目の上をカット。流血が激しかったため、残り1分50秒でレフェリーが傷の様子をドクターにチェックさせるため試合をストップした。 ここで榊原実行委員長が明らかにした「カットやアクシデントがあればCMに行く」という事前の約束事が断行されてCMに突入した。だが、CMが明ける前に、試合が再開し、生中継が再開した画面には、いきなりブランコがダウンしている様子が映し出されたのである。しかも、それは2度目のダウンシーン。天心は、この試合で3度ダウンを奪ったが、「終わったかな」と確信したほどの会心の左のミドルキックが炸裂した最初のダウンシーンも、その直後に見せた、この試合のハイライトとも言える“ドロップキック”も、そして2度目のダウンを奪った膝蹴りも割愛されていたのだ。緊迫感を味わえる格闘技の生放送の最重要場面を見れなかったファンの声でネット炎上するのも当然である。