ナイロン100℃『江戸時代の思い出』は観たことのない時代劇になる……!? 三宅弘城×大倉孝二インタビュー
ナイロン100℃ならではの作品創り
――今回は劇団結成30周年の記念公演です。これだけ長く続けてこられたことについては、どう思いますか? 大倉 続けてこられた秘訣っていうか、要因はKERAさんでしょうね。良くも悪くも、本当にエネルギーが強い人だから。 三宅 KERAさん以外の人が主導の公演も何本かありますけど、あとは全部KERAさん(の作・演出)ですからね。KERAさんがやりたいものを、僕らが具現化する。 ――KERAさんの作・演出の魅力って、おふたりはどう感じていますか? 三宅 いろいろなことをやって、作風がひとつに絞られてないですよね。 大倉 よく、そこまでいろいろなことに興味を持つな、ってびっくりしますよね。歳を重ねてからいろいろなことに興味をもつって、結構大変じゃないですか。 三宅 億劫になるしね。自分のパターンを踏襲するのは安全だと思うんですが。KERAさんはそうならない。あと、意外と、役者は得意技が封じられるんですよ。例えば、僕は劇団☆新感線に出た時には飛んだり跳ねたりしてるけど、その後にナイロン100℃では全然動かない会話劇をやったりとか。 大倉 確かに、そうかもしれないですね。それと今回は三宅さんの名前が最初に出てますけど、だいたい群像劇の方が多いからどうなるかな。 ――始まってみないとわからない? 大倉 始まって、どころかまだ書いてすらいないんですよ。ただ「重い話じゃないことは言っておけ」ってKERAさんに言われました。 三宅 『イモンドの勝負』(2021年、47th SESSION)ほどではないけど、そっちの路線のバカバカしいものになるみたいです。 大倉 いつも、読んでどういうふうに演じたらいいのかわからないし、どういうふうにして面白くするんだろう、っていうような台本が来る。簡単にはできないところが、出る側としては面白いですね。 三宅 KERAさんの頭の中にあるものはそのまま演出されるし、たまにKERAさんも「これ、どうしようかなと思ってるんだ」みたいな時は稽古場でみんなで相談して。 大倉 一回全部変えてみようか、とか。 三宅 かと思ったら、「ここは映像だから」って言われて「そうだよな、これ生身でやるのは無理だもん」って時もあるけど。 ――今回は山西惇さんや池田成志さん、奥菜恵さん、坂井真紀さんが客演されますね。 三宅 僕は、坂井さんは何度も共演している盟友です。奥菜さんとは『ドント・トラスト・オーバー30』(2003年、ホリプロ×ナイロン100℃ SPECIAL SESSION)以来なので21年ぶり。山西さんとは29年ぶりで、成志さんも28年ぶり。しかもナイロン100℃ではなくて、劇団☆新感線の『直撃!ドラゴンロック2』(1999年)だった。 大倉 そうなんだ!? すごい意外。 三宅 ほぼ30年ぶり。だからいるだけで楽しみだし、一緒にやれる喜びがあります。 大倉 僕は割とコンスタントにご一緒させてもらっているので、「ずっとお世話になってます」って感じ。感覚的には劇団の先輩たちと変わらないですね。坂井さんも、ナイロン100℃(2013年、40th SESSION『わが闇』)でもテレビでもご一緒していますし。何でしょう、時間が止まったかのような、何十年経ってもまたこのメンバーでやるんだな、やれること自体がすごいなって、最近あらためて思います。 三宅 たぶん今まで見たことのないような、ナイロン100℃なりの時代劇になると思いますしね。これまで観たことのない舞台になると思うので、ぜひ本多劇場でお待ちしております。 取材・文:金井まゆみ 撮影:源賀津巳 <東京公演> ナイロン100℃結成30周年記念公演 第二弾 ナイロン100℃ 49th SESSION 「江戸時代の思い出」 公演期間:2024年6月22日(土)~7月21日(日) 会場:下北沢 本多劇場