パリ五輪代表のボクシング岡沢セオン 忘れられない東京五輪の悔しさ「金メダルを取る姿を見てほしい」
パリ五輪のボクシング日本代表に内定している男子71キロ級の岡沢セオン(INSPA)=鹿児島県鹿屋市在住=が今夏の祭典での躍動へ準備を進めている。東京大会に続く2度目の出場となる岡沢は前回の悔しさを糧に、鍛え上げた拳で金メダルを目指す。(山田孝人) ■2階級制覇のシングルマザー、同郷鹿児島の俳優と2ショット【写真】 金色に輝く栄冠の証しだけを見据える。「多くの人に応援してもらっている。パリでは金メダルを取る姿を見てほしい」。岡沢はここまでの道のりで築き上げた自信を携え、再び大舞台に挑む。 3年前の東京五輪はウエルター級でメダルを期待されながら2回戦敗退。「きつい経験。期待を裏切ってしまった。今でも悔しいし、全然切り替えていない。ずっと切り替わることはないのかな」。五輪への思いは何よりも強くなった。 東京大会の後に体重区分が変更され、同級は上限が69キロから71キロとなった。パワー重視の闘いを意識して強化したが、結果が伴わない。「負けまくりすぎて、プライドも何もなかった…」。昨年の世界選手権でも早期敗退。苦しむ中で、元来の持ち味であるスピードを意識した試合展開に原点回帰して復調した。 昨秋の杭州アジア大会では、2023年の世界選手権覇者を準決勝で撃破するなどし、日本勢29年ぶりの金メダルを獲得。五輪の出場権を得た。レベルの高いアジアを制したことで「自分の実力がトップに通用すると確認できた」とうなずく。 苦しんだ時期に鍛えたパワーもプラスに働き、レベルアップしている。今年も海外遠征に出向くなど、順調に調整が進む。「(拠点とする)鹿屋に恩返しを」と結実の時へ拳を磨いている。