ぶいすぽっ!の個性豊かなメンバーの中でも唯一無二 小雀とと&如月れんが持つ“共通項”
現在のVTuberシーンにおいて、タレントの活躍する分野は日々拡がっている。そのなかで年々支持を強めているのがBrave groupが手がけるVirtual eSports Project「ぶいすぽっ!」である。 【画像】ぶいすぽっ!の清楚担当・小雀とと&ツッコミ担当・如月れん 業界においてさまざまな趣向のプロジェクトが存在するなかで、「ぶいすぽっ!」が特色としているのは、eスポーツに特化した事務所であること。とくにFPSジャンルを得意とするメンバーが多く、なかには各タイトルにおける認定ランクで上位に食い込む者もいるほどだ。 現在所属するメンバー20人は昼夜問わずゲーム配信をおこない、プロジェクト内外で催される大型大会や企画へ参加するなど、ここ数年ですこしずつ存在感を示してきた。配信を通じて印象的なシーンを生み出してきたことで、コラボ商品や商品広告にも起用されるようになっており、所属タレントが様々な形で活躍する場面が増えてきている。 現在の運営体制となってから約4年ほど、シーンをリードする「ホロライブ」「にじさんじ」にも劣らない「ぶいすぽっ!」の魅力が広く知られつつあるのだ。 FPSのみだけでなく“ゲーム上手”な面々が揃っている「ぶいすぽっ!」。その実力はもちろん、こだわりや熱量だけでなく、それ以外の面でもたびたび驚かされる。さらにいえば、そうした熱量がゲームだけでなく、バーチャルタレント~VTuberとしての活動において発揮されることも多い。 今回は「ぶいすぽっ!」のなかでもユニークな活動をつづけている2人、小雀(こがら)とと・如月(きさらぎ)れんの2人について掘り下げていこう。 ■おだやかな清楚担当・小雀とと マイペースにクリーンな雰囲気が魅力 小雀ととは、2019年4月17日に動画を初投稿、翌18日に初配信を行なってデビューした。その後にデビューした同期・一ノ瀬うるはと花芽なずな・すみれ姉妹とともに、「Lupinus Virtual Games」所属のメンバーとして活動をスタートした。 薄い金色の髪に、薄赤い色に染まった瞳と下がった丸みのアイライン。三つ編みに結んだ髪型、ほどいて肩くらいまでのミディアムな長さをみせたり、初期に見せていた海兵服のような水色の衣装や白黒のドレッシーな衣装など、まるで「お人形」のような愛らしくファンシーなイメージを振りまいている。 特に目を惹くのは、指や肩に乗っている黄色い鳥・ゴンザレスの存在だろう。目を細めて温かい目で見守るようなゴンザレスの表情と丸っこい体型は、小雀ととのムードともマッチし、欠かせない存在だ。ちなみに「ゴンザレス」という名前は花芽すみれがつけたようだ。 もともとは運営スタッフにスカウトされてデビューしたという小雀とと。デビューのタイミングにあわせて上京してきた彼女は、花芽姉妹が当時同居していた家に足繁く通い、そこから配信をしていたという。 「いつも同じパスタばっかり買ってきてた」「大きな部屋を4つに区切って、すーちゃん、なずちゃん、あたしの部屋に分けてた」とさまざまな話題があり、2019年当時のころについての思い出については今後配信の中で振り返ることもあるだろう。 ちなみに2019年8月には当時使用していた部屋を公開しており、とても愛らしくレイアウトされたゲーミング部屋を見せている。 ところで、VTuberやバーチャルタレントたちの中には、「デビュー時と現在でキャラクターや振る舞いがまったく異なる」というタレントが結構な割合でいる。おとなしそうな女の子が対人ゲームに触れて言葉遣いが荒くなったり、「自分は口数が多くないタイプ」と話していた男性が配信活動を通じてとんでもない会話上手になったりと、“配信者”としての影響が少なからず出てくるのだ。 その意味で言えば、小雀は“配信者”としての影響がほとんどなく、デビューした当時のオーラのままで活動を続けられているようにみえる。 事実、彼女の配信を見ていると、「おだやか」「おっとり」「まったり」……そのようなイメージを抱くことの方が多いはず。彼女の公式Xのプロフィール文には、「世界で一番マイペースなVTuberだよ!」と記されており、その在り方はデビュー当時から現在に至るまで、変わっていないようだ。 そんなこともあり、小雀の配信ペース・頻度はぶいすぽっ!の中でも最も少ない。他のメンバーが10時間~20時間ほどの長時間配信や毎日配信を続けているなか、彼女は数日に1度ペースの配信頻度、時期によっては数週にわたって配信をしないこともあるほど。「世界で一番マイペース」と自称するのもよく分かる。 また、対戦ゲームで理不尽な倒され方をされたり、ホラーゲームでいきなり驚かしギミックと出会ったりした際、台パンなどキレてみせるリアクション芸を披露する配信者は多い。 そういった状況に直面しても、小雀ととはいたって素朴。フワフワとした声色とファンシーな衣装でゲームをプレイし、急な敵襲で理不尽に倒されたり、いかついBGMや効果音が突然鳴っても、「わっ! びっくりしたぁ、へへへ……」と笑顔を見せて終わることが大半だ。 大らかで優しい性格の小雀は、配信中に怒ることもなければ泣くこともあまりなく、まして一瞬の感情に振り回されてモノに当たるといった振る舞いを見せることは全く無い。くわえて、彼女自身の声がすこし小さめで弱々しく、それも彼女の印象を強調する一つのファクターだ。 彼女がみせるのはふわっとした笑顔と幸せそうなムードであり、先にも述べたようなファンシーさやクリーンなイメージでコラボ相手すらも浄化させようかというほどだ。 そんな彼女のデビュー時から変わらないムードやイメージをさして、ぶいすぽっ!の同僚・ファンからは「ぶいすぽっ!の清楚担当」と呼ばれることがとても多い。後輩には同じようなムードを生み出す藍沢エマがいるものの、クリーンかつお淑やかさというイメージで小雀の右に出る者はいないだろう。 穏やかでまったりとし、愛らしくもファンシー、その言動の一つ一つにピースフルなクリーンさが宿る小雀とと。しかし、彼女とてゲーマーが集う「ぶいすぽっ!」の一員であることは忘れてはならない。 ■ファンから待ち望まれていた「格ゲー」 友人との繋がりが彼女を後押しする 先日開催された『第4回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6』に出場した小雀とと。コーチ役・Shinjiの計らい(?)もあり、医者の問診のような形式でゲーム遍歴について自己紹介していくことになったのだが、その内容に多くのリスナーが驚かされることとなった。 「これまで一番プレイしてきたゲームは?」と問われて答えたのが、『PUBG』約5000時間、『LoL』約3000時間、『Apex Legends』『VALORANT』それぞれ約1000時間という、驚異的な時間。 ゲーマーであれば「このゲームは特にのめりこんでプレイした」という経験を持つ者は多いだろう。しかし、彼女はこの4作品で10000時間オーバー、ゲーマーの中でもかなりヘビーなゲーマーなのだ。 一ノ瀬、花芽姉妹らとともに「Lupinus Virtual Games」として『PUBG』をプレイしていた際は、3人から「スナイパーはととに持たせる」と信頼を持たれており、何度となくチームの窮地を救ってきた。またプレイ時間の長さに紐づいて指揮能力・状況を俯瞰的に把握する冷静さもあり、様々なアングルから敵を撃ち殺す腕利きのスナイパーとして活躍していた。 『PUBG』と同じサバイバル系ゲーム『Apex Legends』においても気の利いたアドバイスや報告をすることが多く、彼女が注意深く状況を見ていることがよくわかる。 そんな彼女だが、「ぶいすぽっ!」メンバーには珍しく、これまで大会などにあまり出場してこなかった。『Apex Legends』『VALORANT』などの大会に出場することもかなり少なく、今回まで『Crazy Raccoon Cup』に出場したこともなければ、ぶいすぽっ!メンバーが多数参加してきた『VTuber最協決定戦』には、一度も出場してこなかったほど。 1年の内に十数回以上もコミュニティ大会に出場する他のメンバーと比べると、小雀がこういった大会に出場することはかなりレア。だからこそ、彼女が今大会に出場をすると発表された際の反響は大きかった。 その反響の中身もまた、“小雀ととならでは”といったところ。同じチームにいた後輩・橘ひなのを含め他チームにいる面々は初心者ばかりで、それぞれのファンは「『SF6』をやるのか!」と驚きの声が多かった。対して小雀ととの場合は「ようやくやってくれるのか!」という期待の声が大きかったのだ。 なぜ「期待」なのかといえば、それは彼女の交友関係に秘密がある。じつは彼女には配信をよく共にするストリーマーがおり、後述する2人は彼女の活動においてかなりの影響を与えているからだ。 その人物とは、プロゲーミングチーム・Burning Coreに所属するプロ格闘ゲーマーの立川と、DeToNatorのストリーマー/元FPSプロゲーマーであるRobiNの2人だ。 3人は2021年3月29日開催の『じすたげCUP in Mildom』に出場するために集まったチームであり、立川が声をかけて集めたメンバーだ。格ゲープレイヤー以外とも積極的に交流を深め、様々な交友関係を持つ立川がいなければ、おそらく集まることはなかったはずの3人である。 ちなみに、立川と小雀2人の初交流は2020年ごろ。小雀がMildomでおこなっていたマイクラ配信に、立川がレイドしたのが初接触のようだ。当時立川がMildomをメインに活動し、小雀もたまたまMildomで配信していたこと。なにより彼が持ち前の明るさで“前ステ”したことが、小雀にとって大きなインパクトとなったのだ。 このチームがキッカケでRobiNとも縁を深めた小雀。当初はシーンの大先輩であるRobiNに遠慮してなかなか話しかけられずにいたが、徐々に彼女の朗らかなムードや立川の陽気な会話に乗って仲を深めていくことになった。 こうして大会に乗り込み、準優勝を勝ち取った3人は、その後もなにかと集まってゲーム配信をともにする「チームタルコフ」として交流が続いている。大会のために集まったチームの交流がその後も続くというのは、無いわけではないが比較的珍しい。 『Apex Legends』のランクマッチでチームを組むのはもちろん、『Minecraft』『7 Days To die』『スーパーボンバーマンRオンライン』『ピクトセンス』『VALORANT』『Back 4 Blood』『Palworld』など、さまざまなジャンルのゲームを3人でプレイしてきた「チームタルコフ」。小雀も「誘ってくれたらなんでもやる」というウェルカムなスタンスで、存分に楽しんでいるようだ。 ちなみに、「チームタルコフ」は小雀・立川・RobiNの3人に、プロ格闘ゲーマーのナウマンと、小雀のビジュアルを担当するイラストレーター・木なこの2人が加わることがある。だがそれ以上の大所帯になることはなく、5人というかなり小規模なコミュニティを維持してきた。 多くの場合、少人数で始まったコミュニティであっても、ゲームをするためもしくは配信を楽しく続けるために配信者が自身の友だちを呼び、いつの間にか大所帯となるパターンがとても多い。ファンや視聴者としては「新しい出会いとやりとり」を楽しめる余地が生まれるのだが、「配信のためにゲームをするわけではない」「3人で楽しむついでに配信もつけてみる」といったマインドが見えてくる。 そんな彼女が『ストリートファイター6』の大会に、しかもFPSゲームで出場してこなかった『Crazy Raccoon Cup』に出場するのだから、長年のファンにとっては待望かつうれしい一報だったろう。 Shinjiとの会話の中では「普段仲良くしている方が格ゲーをやられている方が多く、逆にソロゲームをやることがなかったので、これを期にやってみようとおもった」と話しており、あらためて「チームタルコフ」の存在の大きさを感じさせてくれた。 大会結果は3戦全敗と振るわず、悔しさを滲ませていた小雀だったが、友人らと一緒に楽しめるゲームが1つ増えただけではなく、1vs1対戦の格闘ゲーム特有の緊張感・悔しさを経験したことで、今後『ストリートファイター6』を「チームタルコフ」のみんなで、あるいは配信でコツコツとプレイしている姿が見れるかもしれない。 その言動によって生まれるホッコリと温かなムードのまま、これまでマイペースに活動してきた小雀とと。今後も「自分のやりたい配信をやりきる」という姿勢・スタンスで彼女は活動を続けていきそうだ。 最後に、「チームタルコフ」は小雀、立川、RobiNの3人が結成当時共通してプレイしていたFPSゲーム『Escape from Tarkov』にちなんでつけられているが、結成してから約3年のなかで同作をいっしょにプレイしたことはない。