ぶいすぽっ!の個性豊かなメンバーの中でも唯一無二 小雀とと&如月れんが持つ“共通項”
関西生まれ・趣味はeスポーツ観戦・グループ随一のマジメ枠 如月れんのスペシャリティ
如月れんは2020年10月15日にSNSに初投稿、18日にYouTubeで初配信してデビューを飾った。同年7月に兎咲ミミと空澄セナ、8月に英リサと橘ひなのと4人がデビューしており、如月を含めた5人合わせて「同期」と言われている。 黒のショートボブで、毛先に向かってワインレッドに染まっていくグラデーションヘアが特徴的な彼女。服装や瞳の色も黒/赤に揃えているだけでなく、女性としては低めの声かつ落ち着いた口調で話し、身長も165cmと高身長で、頼りがいある印象が強い。 そのため半数以上のぶいすぽっ!メンバーが如月を「くん」「さん」付けで呼んでおり、結果ぶいすぽっ!内でも随一の「真面目枠」であり「イケメン枠」と評されることが多い。 ぶいすぽっ!メンバーと配信を共にする時は、おしゃべり好きな面々のなかでもしっかりとツッコミをする常識人ポジションにつくタイプである。とりたてて周囲をとりまとめるわけではないのだが、ワイワイと騒いでいるグループがすこしだけズレたところにいけば、すかさずツッコミを入れていく、そんな独特なポジションを確立している。 如月は関西地方の生まれであることを明かしており、配信内で使っている関西らしいイントネーションはナチュラルなものだ。本人はわりと冷静かつゆったりとしたタイプなのだが、活気のある場所・イベントを好むタイプでもある。 デビュー以前から日本・海外問わずプロゲーマーを見ることを趣味にしており、「ゲームが上手くなりたい理由は、試合を見ていてもっと理解できるようになりたいから」と過去にSNSに投稿していたこともあった。 現在でもリスナーから「このあとの『VCT』見る?(『VCT』:『VALORANT Champions Tour』の略称。『VALORANT』の世界大会)」と聞かれれば、「もちろん見るよ!」と答えるなど、eスポーツファンとしての一面も備えている。 個性豊かなぶいすぽっ!メンバーのなかで、ほぼ唯一といえる見守り役でもある彼女だからこそ、メンバーたちを「どう見せれば面白くなるのか」が頭によぎっていたのだろう。2021年9月21日に「ぶいすぽっ!秋の抜き打ちテスト~抜け出せ学力ブロンズ帯~」を自身のチャンネルにて配信した。 如月自身が企画・スタッフを集めたテスト企画は、最大同時視聴者数は約5万人以上を記録し、第1回開催からその後数年にわたって話題にあがりつづけるほどのヒット企画となった。「ぶいすぽっ!」の強固なファンダムが一気に知られるようになった、ひとつのターニングポイントとして挙げられるだろう。 2023年9月10日には約2年ぶりとなるテスト企画が配信され、こちらも大きな反響を得ている。 この2つの配信は、如月れんのYouTubeチャンネルでも1位2位の視聴回数をマークしている人気配信であり、もしかすれば「ぶいすぽっ!」全体にも多少なりの影響を与えたのかもしれない。 第1回テスト企画から約2ヶ月後、2021年11月にはニコニコ動画に『ぶいすぽっ!ニコニコオフィシャルチャンネル』が開設され、27日には初回放送として「リモートビストロクイーン決定戦」が放送された。現在チャンネル名は『ぶいすぽっ!激烈かしましロード』(愛称:激ロー)となり、毎月1回、お笑い系バラエティ番組をが放送されている。 彼女たちに縁深いストリーマーやVTuberらがゲストとして毎回出演し、ストリーマーとVTuberの垣根を超える番組となっているだけではなく、“ゲーマー”や“VTuber”という枠に収まりきらない「ぶいすぽっ!」メンバーたちのタレントとしての魅力を広げることに繋がっている。 如月自身がどこまで見据えていたか、本当に影響を与えたかは定かではないが、配信内で見せていたぶいすぽっ!メンバーのお笑いセンスが大きなインパクトを与えていくだろうと予兆・予期し、はやくから手を打って企画立案・配信までしたのであれば、その後の発展の最終助走を作りあげた彼女にぜひ拍手を送りたい。 ■「自分は成長枠」と謙遜しつつも積み上げてきた様々なゲームスキル では、如月れんは自分自身をどのようにみているのだろうか。配信中によくこのような発言をすることがある。 「先輩や同期、後輩たちと違って、自分はそんなにゲームをやってきていない。成長枠としてデビューしたと思ってください」 これは、彼女の初配信から現在まで一貫したスタンスでもある。「ぶいすぽっ!の成長枠」と己を評価し、自身の成長や変化を見て楽しんでもらう。それが彼女の主な活動方針・内容となっている。 そのため、『Apex Legends』『VALORANT』といった現在人気を集めるFPSゲームのランクはゴールドからプラチナと、いわゆる「一般的なFPSプレイヤーの腕前」といったところ。それでも、上級者が集まるコミュニティ大会に何度も出場し、練習を繰り返して食らいついている“努力の姿”を見せてくれていた。 そんな如月には、FPS以外に得意とするゲームが2つある。自身がプロリーグを見ていた「麻雀」と「格闘ゲーム」においては、ぶいすぽっ!内でも一二を争う実力を持っている。 順に振り返っていこう。デビュー当初のころに「プロリーグを見ている」とハッキリ口にしていた麻雀の世界。2020年11月22日に初めて『雀魂』を使った麻雀配信をすると、2021年2月の新衣装お披露目では「一位を逃す度に新衣装の差分が公開されていく」という趣旨の配信をおこなった。 2022年8月6日にぶいすぽっ!と『雀魂』のコラボ大会『第1回ぶいすぽ雀魂女傑戦』が開催されたこと、同年に天開司によるプロ・アマ混合麻雀リーグ戦『神域リーグ』が開催されたことも影響して、徐々に“雀士・如月れん”に注目が集まるようになっていった。 2023年には歌衣メイカ主催の麻雀トーナメント『雷漢戦 in WGS』に参加、『神域リーグ2023エキシビションマッチ』では渋谷ハルの代打としてチームアキレスに参加するなど、徐々に活躍の場を広げている。Mリーグで活躍するプロ雀士とも交流を持っており、ぶいすぽっ!メンバーの中でもっともプロ麻雀シーンと近い存在だといえる。 ちなみに、これまで2度に渡って開催された『ぶいすぽ雀魂女傑戦』では、いずれの開催回でもキービジュアルメンバーに選ばれており、赤黒のチャイナドレスに身をまとったビジュアルが公開されている。どちらも非常に良い出来なのだが、Live2Dモデルではないため配信でこのビジュアルで動いているのを楽しめないのが、なんとも残念である。 そして、この1年彼女が力を注いでいるゲームといえば、『ストリートファイター6』だ。 前作『ストリートファイター5』をプレイした際には「コンボがなにもできなかったので諦めた」と語っていた如月。『ストリートファイター6』が発売された2023年6月上旬から少しづつ配信外でプレイしていたという。9月に入ってから小雀と仲の良いナウマンとコラボ配信した際に、あらためて格闘ゲーム・『ストリートファイター6』の基本的な動きを教えてもらうことに。 くわえて、以前からプロリーグ『ストリートファイターリーグ: Pro-JP』を追いかけていたという如月らしい観戦好きな一面と、2023年前半・後半に2度開催された『VCR GTA』や『VCR ARK』に参加し、様々なストリーマーと仲良くなったことが後々に大きな影響を及ぼすことになった。 『VCR』企画で仲良くなったゲーム実況グループ・三人称のドンピシャやRiddle所属のストリーマー・ありけんらと交流を深めると、彼らが開催するストリーマー同士の対戦会に呼ばれるようになり、徐々に格闘ゲームにのめり込んでいくようになる。 2024年になるとその傾向は更に加速。自身の推し選手でもあるフェンリっちから現在の持ちキャラである「JP」のコーチングを受けると、2月に『第3回Crazy Raccoon Cup』、3月には『RAGE STREET FIGHTER』と、立て続けにカジュアル大会に出場することになった。 ゲーム開始当初はゲームパッドのモダンモードでプレイしていた彼女だが、ハマっていった結果一念発起してレバーレスコントローラーを購入することに。以降はレバーレス・クラシックモードでプレイするようになった。 フェンリっちの教えにくわえ、ドンピシャとプロ格闘ゲーマー・ひぐちの2人を中心にした「ガイル村」での対戦会にも積極的に顔を出していった結果、みるみる内に実力をつけた如月。2023年11月時点でゴールドランクだったところから、翌年2月には一気にマスターランクへと上り詰めることになった。 もともと格闘ゲームに触れてこなかった初心者・女性プレイヤーが、コツコツとプレイしつづけてゲーム内最高ランクへと上り詰めたこともあり、彼女の存在を好意的に捉えているファンは多いだろう。。現在でもSHAKA、ドンピシャ、ありけんらが揃ったストリーマー同士の対戦会には必ずといっていいほど参加しているため、主にストリーマーを見ている視聴者のなかに“隠れ如月ファン”が増えているのではないだろうか。 格闘ゲームは純粋な1vs1の勝負であり、味方に迷惑をかけるなど気負うことなくプレイできるというのも、「成長」という目標を掲げる如月にとっては好材料だったのかもしれない。 小雀とと・如月れん両名は、FPSゲームにメインを置いたぶいすぽっ!というプロジェクトのなかでも、まったく別種のゲームで高い実力をもったり、マイペースかつ穏やかな内容とキャラクターで存在感を放っている存在だ。個性豊かなメンバーたちのなかで、今後も唯一無二の存在感を放っていってくれるはずだ。
草野虹