二刀流をスタートさせた打者・大谷翔平の評価とは?
一塁手というのは、相手チームにも顔見知りが多い。塁に出た選手と簡単な会話を交わすのが常だからだ。カージナルス時代に3年連続(2011~13)で3割を打ち、13年にはオールスターゲームにも選ばれたアレン・クレイグ(パドレス)もそんな一人。 「まぁ、色んな選手と話をするからね」 そのカリフォルニア州立大バークレー校出身の秀才は、「話せないけど、スペイン語も分かる」という。 「クラブハウスで毎日のように聞いているから」。そして、ラテン系選手独特の訛りの強い英語も「理解できる」と話した。 「一塁で毎日のように聞いていれば、耳が慣れてくる」 26日(日本時間27日)、大谷翔平(エンゼルス)が、アリゾナ州ピオリア──かつて、マリナーズ時代のイチローが本拠地とし、日本ハム時代にキャンプで訪れた地──で行われたパドレス戦に「2番・指名打者」で出場し、野手デビューを果たした。 初回、見逃しと空振りで簡単に2ストライクと追い込まれたが、3球目以降を冷静に見送って一塁へ歩くと、そこにクレイグがいた。 彼は特に意識することなく、他の選手に声をかけるように、大谷にも話しかけた。 「How’s it going? 」 (よう、元気かい?) するとそのとき、大谷はこう返したという。 「Nice to meet you」(お会い出来て光栄です) 英語で? 「そりゃあ、どうだろう(笑)」とクレイグ。「完璧な発音だったよ」。 よって違和感を覚えることはなかったが、「そうか。1年目か?」とようやく思い当たった。 「いや、少し堅苦しい挨拶だけど、こなれた感じだった」 同時に大谷の礼儀正しさにも感心した。 それより少し前、相手捕手で、かつてクレイトン・カーショウのパーソナルキャッチャーを務めていたA.J.エリスが、マスク越しに感心していた。 「何をしたいのか。明確な意図を持って、打席に入っているのが分かった」 狙いを絞り、じっくりその球を待つ。好打者は、球種、コースを絞り込んで、その球を待つとされるが、エリスも大谷のそんな資質を感じ取っていたのだ。 それは、27日(日本時間28日)に連続で出場したロッキーズ戦の1打席目にも見られた。